「教育課題探究実習(隠岐実習)」を実施しました:第3日目

隠岐実習レポート、履修者募集から事前学習まで第1日目第2日目に続き、4回目です。

この日はバスの時刻の都合上、7時半過ぎに宿を出発し、バスに乗って島根県立隠岐高等学校へ向かいました。到着したのが8時過ぎ、生徒たちが次々と登校してきます。

なにはともあれ、正門前で記念撮影。

朝早くから来たのは、「隠岐ジオパーク研究最終中間発表会」ならびにディスカッションに参加するためです。「隠岐ジオパーク研究」(以下、「ジオパーク研究」と表記)とは何か? 一言でいえば、隠岐高校の生徒たちが取り組む課題解決型学習(PBL)です。

もう少し詳しく説明すると、隠岐高校では1年生の秋頃から2年生の秋にかけて、生徒全員がいくつかのチームに分かれてジオパーク研究に取り組んでいます(今回発表した現2年生は12チーム)。特色の1つは、年度ごとに研究対象地区を定め、地域課題解決型の学習ならびに研究として活動を行っている点です。現2年生の対象地区は島北東部の布施地区であり、布施地区の特徴や課題に関連するテーマを設定し、ここまで調査研究を進めてきました。

発表会冒頭の概要説明@2-1教室。

経緯を説明しだすと長くなるのでごく簡潔に書きますが、今回実習に参加した学生たちは、ジオパーク研究の途中成果を見せてもらい、その内容に対するコメントやアドバイスを作成し、高校側にお送りするという活動をしてきました。春の時点からかかわり、自分たちが送ったコメント・アドバイスを受けて、研究がどのように進展しているか、学生たちは楽しみにしていました。

発表会には私たちのほか、隠岐の島町の行政関係者、教育関係者、ジオパーク関係者、布施地区の方々、そして大阪大学人文地理学教室(ハンダイジンチリ)のチームなど、多くの、そして多様な参加者がみられました。

1・2時間目は、各チームのプレゼンテーションと質疑応答が行われました。学生たちは積極的に質問やアドバイスをしていました。春から(間接的にですが)高校生の研究活動にかかわってきたということもあって、内容面の進展だけでなく、各チームの特徴やチーム活動として抱えている課題など、感じ取る部分は少なくなかったようです。

3時間目は、12チームそれぞれに関学生や阪大生などが加わるかたちで、振り返り(リフレクション)とディスカッションが行われました。チームによって多少の濃淡はあったようですが、高校生にとっても、先生方にとっても、そして私たちにとっても非常に刺激的な時間になりました。

ディスカッションの様子@2-3教室。

なお、隠岐高ニュースで当日の様子が取り上げられています(2年生ジオパーク研究最終中間発表会)。

もっともっと振り返りをしたいところでしたが、次の予定があるためやむなく切り上げ(Y先生、ありがとうございました)、12時過ぎに高校を出発してジャンボタクシーで都万地区へと向かいました。

午後の目的は・・・シーカヤック洞窟ツアー! しかし、前日は大雨、この日も降ったりやんだりで、実施は難しい状況でした。それでもあきらめきれない学生たちの思いが届いたのか、雨は上がり、こころなしか空も明るくなってきたような・・・。

海洋スポーツセンターに到着し、前日にもお会いした一般社団法人隠岐ジオパークツアーデスクのSさんと最終協議。結論は・・・やはり中止。どんよりとした空気に支配され、私は学生からの視線に耐えられない(^^;)

やりきれない気持ちをぶつける二人組。

シーカヤックが中止になったのは残念でしたが、Sさんからのご提案により、都万地区のジオサイト巡り(Sさんのガイド付き)をお願いすることになりました。結果として、前日の大雨のおかげで水量の多い壇鏡の滝を見ることができ、Sさんの軽妙な語りと知識豊富なガイドを通じて、隠岐の歴史・文化、世界ジオパークとしての魅力や課題、地元(都万)で生まれ育ち、島を出てまた戻ってきたというSさんの人生経験など、多くのことを学び、また貴重な体験をすることができました。以下、写真で振り返ってみましょう。

屋那の船小屋。日本海側特有の文化的景観。
シーカヤック洞窟ツアーを実施する予定だった小津久(おづく)海岸を陸側からアプローチ。
流紋岩がみられる岩場で記念撮影。
壇鏡の滝を裏側から。すごい水量!
那久岬、灯台、島前の島々。

ジオサイト巡りを終えて海洋スポーツセンターに戻り、2階のスペースでSさん、Mさん、地域おこし協力隊員であるIさんとともにディスカッション(というか、ざっくばらんな座談会)を行いました。短い時間でしたが、1日目・2日目とはまた違った視点で隠岐の島町について考えることができたのではないかと思います。スイカと水出しコーヒーもごちそうさまでした!

実習も3日目となり、また朝早くから活動したということもあって、学生たちには疲れが目立ってきました。その一方で、やはり隠岐高校での経験はインプレッシブだったのか、夜のミーティングは眠い目をこすりながらも延々と22時近くまで続きました。あっという間に実習の折り返し地点。翌日はいよいよ島前へ。ということで、また次回。