2022年度「教育課題探究実習(隠岐)」報告書を作成しました

2022年度の「教育課題探究実習(隠岐)」(隠岐実習)の経緯や参加学生による報告・提案等を取りまとめた報告書を作成しました。2019・2021年度に続き、3冊目の報告書です。

真ん中が2022年度版(緑)。左が2019年度(黒)、右が2021年度(グレー)。統一感のあるデザイン(表紙を使いまわしているだけ)。

今回の構成(章立て)は以下のとおりです。

Ⅰ 持続的な「教育課題探究実習(隠岐)」であるために―2022年度実習の経過報告と今後の展望―(波江)

Ⅱ 現地実習報告(学生による分担執筆)
  1.教育行政・制度
  2.離島地域での教育、教育魅力化プロジェクト
  3.教育実践・参加
  4.小規模校における教育―都万地区を中心に―
  5.隠岐地域の歴史・文化・生活、隠岐ユネスコ世界ジオパーク

Ⅲ 隠岐地域の魅力と課題、ならびに課題解決に向けた提案(学生全員)

Ⅳ 実習を終えて(学生全員)

過去2回は私と学生の報告を束ねたカタログ的なものでしたが、今回は作り方を変え、よりまとまりのある報告書になったと思います。お世話になった方々には郵送または直接お届けしたいと思っています。いましばらくお待ちください。

なお、基本的には学生によるレポートであるため外部公開は予定していませんが、内容に関心があるという方がいらっしゃいましたら、まずは波江にご連絡いただけますと幸いです。

隠岐ジオパーク研究発表会を開催しました(2022年10月13日)

2022年10月13日(木)、関西学院大学西宮聖和キャンパスの2号館1階リプラ・メインステージにおいて隠岐ジオパーク研究発表会を開催しました。過去2年間(2020年度2021年度)はオンラインでの開催でしたが、今年度は2019年度以来3年ぶりに対面開催が実現しました。

隠岐ジオパーク研究は、島根県立隠岐高等学校の2年生が「総合的な探究の時間」において取り組んでいる地域課題探究・解決型学習です。今回の発表会は、高校側としては関西研修旅行の一環として、大学側としては「教育課題探究実習(隠岐)」の一環として実施しました。

この日、隠岐高生たちは3大学(大阪大学・関西学院大学・立命館大学)に分かれて研究発表を行うことになっており、関学には7チーム25名が来てくれました。また、陶山裕史校長および2名の先生にもご来学いただきました。

一方、今回はホスト側である「教育課題探究実習(隠岐)」の参加学生(以下、「隠岐実習メンバー」と記します)は、8月30日(火)に高校で開催された中間発表会に参加しており、生徒たちとの再会を楽しみにしていました。発表会の運営・進行は隠岐実習メンバーが担当しました。なお、今回の発表会にあわせて隠岐実習の成果を報告するポスター3枚を作成し、会場の一角で展示させていただきました。

9時から発表会開始。タイムテーブルについてはこちらのページを、7チームの発表内容については下記をご覧ください。発表会には隠岐実習メンバーだけでなく、教育学部の武田信吾先生や学生数名にもご参加いただき、各発表に対して積極的に質問やコメントをしていただきました。生徒たちは厳しめの質問を受けて、少し考え込みながらもしっかりと返答していた姿が印象的でした。全チームの発表終了後は15分間の高校生・大学生交流タイム。発表のことだけでなく、大学や学生生活などについても話が弾み、あっという間に時間が過ぎていきました。最後に波江が全体講評を行い、午前中のプログラムは終了しました。

食堂(マナ・ホール)で昼食をとった後、13時から聖和キャンパスのツアーを実施しました。2グループに分かれ、おもちゃとえほんのへやや4号館のダッドレーチャペル、聖和の森などを巡りました。昼休み中ということで多くの学生が行き交い、アットホームなキャンパスの雰囲気を感じてもらえたのではないかと思います。

13時30分からは623教室にて模擬講義を実施しました。波江が「ごみから考えるSDGs」という題目で約1時間の講義を行いました。あえて大学生レベルの内容にしたため難しいと感じた生徒が多かったようでしたが、ディスカッションの場面では意見を出し合い、ランダムで当てられた何人かの生徒はしっかりと発表してくれました。ごみという身近な入口から全世界的な課題であるSDGsについて関心を持ち、多角的な視点で課題解決について考えるきっかけとなったのであれば幸いです。(時間配分を間違えてディスカッションの時間を十分にとれなかったのは大きな反省点・・・)

少し休憩した後、15時過ぎに聖和キャンパスを出発し、徒歩で西宮上ケ原キャンパスへと向かいました。20分ほどで正門に到着し、まっすぐ中央芝生へ。「外国みたい」という声が漏れ、写真を撮りまくる生徒たち。時計台を背景に記念撮影を行い、限られた時間の中で図書館前や日本庭園、学内にあるスターバックスなどを巡りながら、バスが待つ正門近くまで歩きました。

最後に生徒代表と隠岐実習メンバー代表がそれぞれ謝辞を述べ、隠岐高校ご一行はバスの中へ。16時過ぎに上ケ原キャンパスを出発し、関学での1日を終えました。生徒たちの研究発表に私たちも大いに刺激を受け、充実した時間を過ごすことができました。またいつでも遊びに来てください!

以下、各チームの発表内容を簡潔に紹介します。その後に当日の写真をまとめて掲載します。なお、隠岐高校の公式サイトFacebookページでも関西研修旅行や隠岐ジオパーク研究発表会の様子が発信されていますので、あわせて紹介しておきます。

各チームの発表内容

1チーム目:「隠岐の地質、地形を利用した教育をしよう」(2班)

隠岐のジオパークについて学ぶ機会は小学生の頃からあるが、「隠岐ってすご~い!」で終わってしまっている現状を課題として認識。隠岐の地質・地形について、「すご~い!」の先にある「なんで?」を考えてもらうには五感を使って自分の手を動かすことが重要と考え、ユネスコ隠岐ジオパークの有名スポットである壇鏡の滝を粘土で作りながらジオパークについて学ぶ機会づくりを提案。

2チーム目:「隠岐のメディア~隠岐を盛り上げよう大作戦!~」(8班)

隠岐に関する情報発信や観光が若者世代にリーチしていない現状をふまえ、SNSを多く使う若者をターゲットする活動を行うことに。Instagramのアカウントを立ち上げ独自のハッシュタグを使いながら投稿したり、「隠岐の島旅」というサイトに投稿したりして自分たちの情報発信の効果について検証したが、情報発信力・拡散力の弱さを痛感。そこで、隠岐高校に人を集めるということを当面の課題に設定し、隠岐高校の魅力化やその情報発信について今後取り組んでいく。

3チーム目:「隠岐でボッチャを広めよう!」(9班)

変化の激しい現代社会や自分自身が社会教育の場に参加した経験をふまえ、生涯学習や社会教育の重要性について認識。そこで隠岐の島町において行われている社会教育について検討したところ、障害を持つ人が参加できる社会教育の場が必ずしも十分に提供されていないという課題を発見。そこで、障害を持つ人もそうでない人も互いに楽しみながら学ぶ機会づくりとしてボッチャ教室を提案。

4チーム目:「子どもたちをモックモックに 隠岐の島町での木育サイクルを進めよう」(10班)

東京おもちゃ美術館(NPO法人芸術と遊び創造協会)が示す「木育サイクル」に依拠しながら、隠岐の島町の森林・林業が抱える課題について認識し、木育サイクルにおける「赤ちゃんのころから木に親しむ」という段階に注目。島内の木を使っておもちゃを作ることで隠岐の島町版木育サイクルを回していくことを目指し、島内の工務店などと連携しながらおもちゃの試作品を制作しようと企画中。

5チーム目:「幸せの島大作戦~住みたいマチ 隠岐の島~」(13班)

医療という観点から、子育て支援を通して住みたい町にしていくという方向性で活動を進めてきたが、根本的には「隠岐の島の島民が幸せな状態になる」ことが住みたい町につながるのではないかと考え、「幸福度」に着目。「幸せ」について研究している前野隆司氏が示す「幸せの4つの因子」のうち他者との関係性にかかわる「ありがとう因子」に注目し、島内の職場において「ハピネスチャージ」という取り組みを広めることを提案。

6チーム目:「豊かな海を取り戻そう~磯焼けの原因となるガンガゼを美味しく食べよう~」(17班)

隠岐の海でも大きな問題となっている磯焼けの一因となっているガンガゼに注目。ガンガゼはウニの一種であるものの、とげに毒があり食味も良くなく厄介者扱いされている。しかし、他のウニと同じように美味しく食べられるようにすればガンガゼが減少し磯焼けの改善につながるのではないかという仮説を立て、今後ガンガゼに様々な餌を与えながら育て、身の色や味の変化を検証していく。

7チーム目:「NEW GOAL」(20班)

離島と本土を結ぶ、隠岐地域にとってなくてはならない会社である隠岐汽船株式会社に注目。隠岐汽船が抱えている問題として人員不足が挙げられ、隠岐汽船の人員確保をこのチームの課題に設定。人員確保のためには、まずは隠岐汽船に興味を持ってもらうことが大事と考え、体験型イベントの開催を提案。今後隠岐汽船と交渉しながらイベント開催を目指し、イベント参加者への調査等も進めていく予定である。

当日のアルバム

※写真はクリックすると大きく表示されます。

陶山校長先生よりご挨拶
隠岐ジオパーク研究についての概要説明
1チーム目の発表
隠岐実習メンバーが司会進行を担当
2チーム目の発表
3チーム目の発表
一般参加者からも積極的な質問
4チーム目の発表
隠岐実習メンバーももちろん質問
5チーム目の発表
6チーム目の発表
武田先生にもご参加いただきました
7チーム目の発表
隠岐実習のポスター発表
生徒たちも注目してくれました(関西まで来て隠岐の写真が見れるとは・・・と思ったそうです)
高校生・大学生交流タイム
おそろの隠岐Tシャツ!(写ってないけど波江も着てました)
おもちゃとえほんのへや
聖和の森から図書館へ
山川記念館の前で記念撮影!
上ケ原キャンパスの中央芝生前で撮影タイム
長い1日、おつかれさまでした&ありがとうございました!

隠岐ジオパーク研究発表会開催のご案内(2022年10月13日)

10月13日(木)9時から、関西学院大学西宮聖和キャンパスにおいて隠岐ジオパーク研究発表会を開催します。当日は島根県立隠岐高等学校の生徒たちが来学し、「隠岐ジオパーク研究」(課題探究・解決型学習)の研究成果を発表します。2019年度以来、3年ぶりの対面開催です。多くのご参加をお待ちしております。

日時

2022年10月13日(木)9:00~12:05

場所

関西学院大学西宮聖和キャンパス 2号館1階 リプラ・メインステージ

プログラム(発表順等は変更の可能性があります)
  • (9:00~9:10) 開会の挨拶、隠岐ジオパーク研究の説明
  • (9:10~9:30) 「隠岐の地質・地形を利用した教育」
  • (9:30~9:50) 「隠岐をバズらせよう大作戦」
  • (9:50~10:10) 「隠岐でボッチャを広めよう!」
  • (10:10~10:15) 休憩
  • (10:15~10:35) 「隠岐の島町の木育」
  • (10:35~10:55) 「幸せの島大作戦」
  • (10:55~11:15) 「豊かな海を取り戻そう~磯焼けの原因のガンガゼを美味しく食べよう~」
  • (11:15~11:20) 休憩
  • (11:20~11:40) 「NEW GOAL栄光の架橋」
  • (11:40~11:55) 学生による教育学部および聖和キャンパス紹介(仮)
  • (11:55~12:05) 全体の講評、閉会の挨拶
本発表会について
  • 教育課題探究実習(隠岐)」の一環として開催するものです。
  • 隠岐ジオパーク研究は、隠岐高校の「総合的な探究の時間」において行われている課題探究・解決型学習です。8月に高校で開催された中間発表会には「教育課題探究実習(隠岐)」の履修学生が参加しました(参考:「隠岐実習2022 (4) ~第3日目(8/30)~」)。
  • 会場では、8/28~9/2に実施した隠岐実習の成果報告(ポスター発表)も行う予定です。
備考

発表会終了後、聖和キャンパスツアー、模擬講義(波江が担当)、上ケ原キャンパスツアーも予定しています。

隠岐実習2022 (7) ~第6日目(9/2)~

いよいよ「隠岐実習2022」レポート、最終回です。

といっても、実習最終日は自由行動としたため、書くことがあまりありません(^^;) 私はといえば、隠岐の島町役場にのぎのびハウスの鍵を返却しにいったり、環境課と打ち合わせをしたり(ごみ関係)、お土産を選んだりして過ごしました。

13時にホテルに集合し、ホテルのマイクロバスで空港まで送っていただきました。今回、ホテルの皆様には、私たちを温かく見守ってくださり、何かとお気遣いいただきました。心より感謝申し上げます。

少し早めに空港に着いた理由は、空港周辺を散策したかったからです。空港周辺は公園として整備されており、とても気持ちのよい場所です。岬の先のほうに歩いていくと、大正時代につくられ今も現役の西郷岬灯台があります(今回は時間の都合で行けませんでしたが)。また、滑走路のすぐ近くまで広がっている放牧地には牛が何頭もおり、私たちの心をわしづかみ。一方、牛たちはひたすら草を食み続けていました。

空港ターミナルに戻ってからは慌ただしく出発前の諸手続き。あっという間に搭乗時刻となり、定刻よりやや遅れて15時過ぎに隠岐世界ジオパーク空港を離陸しました。気がつけば(寝てました)、大阪上空。伊丹空港に到着し、今後のことについて少し打ち合わせをした後、解散。5泊6日の現地実習を無事終えることができました。

これまでのレポートの中でそれぞれの日の総括を書いてきましたので、ここに書くことはあまりないのですが、少しだけ全体を振り返っておきたいと思います。まず言えるのは、とにかく学生たちが頑張ったということ。オーバーワークになってしまったという側面もあり、そのことについては私のマネジメントがまずく反省しきりですが、全員の頑張りによっていくつもの山を越えることができたと思います。「あっぱれ!」の一言です。

隠岐実習2022 (1) 」で書いたように、今回の実習はこれまでとは一味違うものになる予感がありました。また、「これまでの実習内容にとらわれず、自分たちのやりたいことにチャレンジしてほしい」という思いもありました。しかし考えてみれば、今回のメンバー全員、隠岐(実習)は初めてであり、そもそも実習参加自体が大きなチャレンジでした。「一味違う」とか「これまでの実習にとらわれない」というのは私にとっての話であって、私自身が新たなチャレンジをするかどうかが問われていたともいえます。その答え合わせ(検証)についてはまたじっくり行いたいと思いますが、隠岐実習としては少しは進化できたのではないかと考えています。

毎回報告書で書いているような気がしますが、実習をやって終わり、参加して終わりではなく、継続性・持続性がとても大事だと思っています。実習に参加した学生に対しては(今回のメンバーだけでなく2019・2021メンバーに対しても)、実習経験を今後の自身の学びや活動、キャリアに活かしてほしいですし、また、隠岐と何らかの形で関わり続けてほしいと思います。担当教員である私の課題は、この隠岐実習で蒔いたタネをいかに育てていくか、です。大言壮語はやめておきますが、隠岐実習をきっかけとして、いつの日か(などと言わずできるだけ早い時期に)、新たなプロジェクトやコラボを生み出していきたいと考えています。

最後になりましたが、実習全体を通して、隠岐で出会った皆様、関西学院大学の教職員の皆様、ラーニング・アシスタント(LA)を担当してくれた3人など、多くの方々に大変お世話になりました。また、今回のメンバーにはいろいろと助けてもらい、楽しい時間を過ごすことができました。ここに記して、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました! そして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

隠岐実習2022」レポートはこれにて完! お読みいただき、ありがとうございました。

おつかれさまでした!

隠岐実習2022 (6) ~第5日目(9/1)~

5日目は島前へ! 西郷港8:30発のフェリーしらしまに乗船。隠岐実習としては3年ぶりの島前行き(前回のレポート)。私自身も約2年半ぶりの島前です。

隠岐実習2019のときと異なるのは、今回は学生が主体的に島前行きを決めたという点です。「隠岐実習2022 (1) 」の中で「ゼロベースの検討・議論が長く続き」と書きましたが、島前に行くかどうかが大きな論点でした。紆余曲折を経てこの日に島前に行くことが決まりましたが、その決定自体には私はほとんど関与しませんでした(もちろん実習責任者としての最終判断はしました)。特に午後の活動については学生にほとんど任せていたので、何が起こるのか楽しみにしていました。

10時5分ごろに西ノ島町の別府港に入港。予約していたジャンボタクシーに乗り、最初の目的地へ。まだなんとか空は持ちこたえてくれています。山道に入り、牛や馬がふつうに道を歩いているのを見て、学生たちのテンション上がりまくり。そして到着したのは・・・・・・

摩天崖!! 今にも降ってきそう、ということで、絶景ポイントまでダッシュ! 高低差250メートルを超える断崖絶壁は圧巻の一言です。

スケジュールの都合上、慌ただしい摩天崖散策を終え、次の目的地、西ノ島町コミュニティ図書館いかあ屋へ。とても居心地がよく、またよく工夫された空間です。どこでもドアがあれば毎日でも通いたいぐらい。各自思い思いに過ごし、スタッフの方には学生の質問(&おしゃべり)に快く対応していただきました。

OKI

12時過ぎにいかあ屋をあとにし、いったん別府港周辺へ。雨脚が強くなってきました。各自昼食をとった後再集合し、13時20分発のフェリーどうぜんで菱浦港(海士町)へ。10分ちょっとで到着です。港から向かった先は、隠岐國学習センター。この訪問については完全に学生にお任せしていたので、私は単なる参加者。私自身、2019年3月以来の訪問だったのでとても楽しみにしていました。

センター勤務9年目という指導スタッフのTさんに学習センターの中をご案内いただきました。それぞれの場所・空間に意味があり、さまざまな工夫が凝らされていることがわかります。それぞれの部屋の意図や用途、学習センターに通ってくる生徒たちの様子、多様な生徒たちへの向き合い方・関わり方、隠岐島前高校との連携の実態、生徒の進路・キャリアビジョン、島前地域の教育魅力化の経緯と展望、他地域の「公営塾」と「公立塾」である隠岐國学習センターとの違いなど、学生たちからの幅広い質問に対して丁寧に回答していただきました。

雨の中、いったん菱浦港へ。船が出る時間まで、お土産を買ったりフェリーターミナルの2階で休息したり、のんびり過ごすことにしました。16時47分発の内航船いそかぜで別府港へ。乗り場から、昨年(2021年7月)にオープンしたEntôがよく見えました。別府港から17時15分発のフェリーしらしまに乗って島後(隠岐の島町)へと戻りました。

この日の総括です。振り返れば、事前ミーティング初期(6月上旬)において、島前に行きたいという希望が出されました。それを受けて私からは、

  • なぜ島前に行くのか、島前に行く意義は何か
  • 島前に行くのなら自分たちで主体的に動いてほしい

といったことを伝え(もう少しいろいろ言いましたがここでは割愛します)、いったんボールを投げ返しました。その後いろいろあって最終的に島前行きが決定したのですが、上記2点をある程度クリアした上での訪問であり、物足りなさは残ったかもしれませんが、良い機会になったと思います。わずか7時間程度の滞在では見聞きできることは限られます。今回の実習をきっかけにして、島前地域に関する学びや関わりをさらに深めていってくれればと思います。

今回の実習を通して、島前・島後双方の教育魅力化について(あるいは教育全般や地域について)学ぶことができました。大事なのは、相対化してとらえるということだと思います。海士町のキャッチフレーズは「ないものはない」ですが、島前にあって島後にないものはたくさんあります。特に教育魅力化の分野ではそのように見えてしまうかもしれません。しかし、島後にあって島前にないものもまたたくさんあり、先進地である島前にもさまざまな課題があります。そのことは、今回の実習を通して実感できたはずです。島前・島後で得た知見を相対化して比較検討し、教育魅力化とは何か、より良い教育とはどのようなものなのか、といったことについて探究していくことが重要だと思います。

実習最後の夜ということで、美味しいものを食べ、(ホテルの許可を得て)花火も楽しみました。次がいよいよ最終回。「隠岐実習2022 (7) 」に続きます。