2018年10月28日(日)に、関西学院大学教育学部秋学期開講科目である「地域社会論」の一環として学外巡検を実施しました。巡検は午前(9:00~12:00ごろ)と午後(13:30~16:30ごろ)の2回実施し、午前の回には13名、午後の回には6名の学生が参加しました。
春学期開講科目の「人文地理学」では大阪府茨木市を対象地域としましたが(参考:茨木巡検を実施しました(その1))、今回の対象地域は大学周辺(関西学院大学西宮聖和キャンパス~西宮上ケ原キャンパス)です。とりあえず、GPSのログを地図上に示します。(以下、写真・画像はクリックすると大きく表示されます。)
ちなみに、これは午前の回のログです。恥ずかしいことに、上ケ原キャンパス内で迷ってしまい、それがログに表れています(^^;) さらに白状すると、午後の回はGPSロガーのスイッチを入れるのを忘れてしまい、ログがまったく取れていません(-_-)
こちらの地図を見ると、特に前半はアップダウンがけっこう激しいことがわかるかと思います。
Googleマップのマイマップ「地域社会論学外巡検2018」でも、巡検ルートと注目ポイントを公開しています。
以下では、巡検中に撮影した写真を用いながら今回の巡検について簡単にレポートします。写真はInstagramにも投稿していますので、「Instagram#地域社会論巡検2018」のページもご覧ください。
聖和キャンパスを出発し、まずは近所にある門戸厄神東光寺を目指しました。正門から入り、境内をぐるりと巡ります。
「西宮市立甲東小学校発祥の地(東光寺寺子屋跡)」の石碑がありました。
門戸厄神東光寺を出て少し歩くと、古くからある細くて曲がりくねった道に出くわします。
やくじんさん筋という通りを北上すると、可愛らしい甲山観音への道標に出会います。その交差点は農業用水の分岐点にもなっていて、勢いよく流れてくる水が管を使って二手に分かれていくポイントです。大学周辺は農業用水路が複雑にはりめぐらされていて、歩いていて飽きません。(私だけ?)
山陽新幹線記念公園でしばし休憩です。ここでは六甲トンネルに入る(あるいはトンネルを出た)新幹線を間近に見ることができ、日曜日ということで子供たちも見かけました。
山陽新幹線記念公園で休憩を終え、しばらく歩くと、急な階段が現れ、思わずため息が出る参加者たち。頑張って上っていくと・・・。
遠く大阪市内まで見渡せるポイントに到着。この日は天気が良く、あべのハルカスや京セラドームも見えました。そこから右手(南西側)に目を移すと・・・。
今立っている場所と向こう側(写真では見えませんが、聖和キャンパスが左奥に確認できます)が高く、その間の谷に住宅地が広がっていることがわかります。新旧地形図を比較すると、その地形的なコントラストがわかりますね。
勝手に「上甲東園のU字谷」と命名した、急に下ってまた上る坂道。写真で見る以上に急です。聖和キャンパスと上ケ原キャンパスを行き来することも多い参加者は知っている人も多く、この道を行くと知るやいなやしかめっ面をしていました(笑)。
聖和キャンパスの近くまで戻ってきています。これは、江戸時代にこの地域が新田開発されたときに引かれた上ケ原用水路の一部で、このポイントで大きくカーブしています。この水は、実は上ケ原キャンパス内を流れてきているのです。
用水路は上ケ原四番北公園の横を通り、さらに聖和キャンパスの裏側や神戸女学院の敷地沿いに続いていきます。この用水路、急な段差がみられるのですが、なぜだかわかりますか? この段差があるところがちょうど地形の変わり目になっているからです。地理院地図の土地条件図で見てもらうとわかりますが、ここは完新世段丘から谷底平野・氾濫平野へと変わる地点になっています。
ドラッグストア付近(午前の回)/コンビニ(午後の回)まで歩いて、しばし休憩。
その後、聖和キャンパスグラウンドの裏側まで歩き(来たことがない人もいて驚きの声が上がっていました)、さらに市営上ケ原四番町住宅の団地群を見て回りました。
いよいよ上ケ原キャンパス方面へと向かいます。今回の巡検の重要ポイントである農業用水路に注目しながら歩いていきました。
上ケ原キャンパスには、現在「新月池」と呼ばれている池があります。もともとは、キャンパスができる以前から存在し使われていた農業用のため池(門戸池)です。キャンパス内の水路を流れてきた水がいったん新月池に入り、また出ていって農業用水として各地に流れていきます。
上ケ原キャンパス内には、実は四等三角点があります。興味のある人はぜひ探してみてください。
午前の回では思いっきり迷ってしまい参加者にご迷惑をおかけしましたが(^^;)、関西学院構内古墳に到着しました。
古墳のすぐ近くに、上ケ原用水路の分水樋があります。これも江戸時代につくられたもので、簡単にいえば、村どうしの合意に基づき3つの村へと農業用水を配分するためにつくられました。
午前の回は時間切れで到達できませんでしたが、午後の回では無事ゴール地点の仁川百合野町地すべり資料館まで行くことができました。現在はきれいに整備されていますが、ここは1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震によって大規模な地すべりが発生し、多くの犠牲者が出ました。この日はあいにく休館日でしたが、資料館ではこの地区で起きた地すべりやその対策などについて学ぶことができます。
ということで、約3時間の巡検を終え、解散しました。参加者のみなさん、おつかれさまでした。巡検前後に撮影した写真も若干Instagramに投稿していきますので、「Instagram#地域社会論巡検2018」のページもぜひどうぞ。この巡検を通じて、大学周辺地域の魅力や課題について少しでも気づいたこと、考えたことがあれば、担当教員としてはうれしく思います。では、また。