隠岐実習2025~2日目(8/25)~

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いきなり夏祭りからスタートした隠岐実習2025。この日からウィークデイということで、学校や行政機関などへの訪問が始まります。

この日最初の訪問先は隠岐教育事務所。ホテルからは徒歩25分ほど(波江基準)。西郷湾を眺めながら歩いて行こうかなと思っていましたが(学生たちにとってはちょうどよいフィールドワークになる)、近年の猛暑は隠岐も例外ではなく、朝8時台でもかなり暑い・・・。無理をせずホテルの車で送ってもらうことにしました。

隠岐教育事務所のある島根県隠岐合同庁舎に到着。合庁(と地域の方々は言います)は西郷湾に面しており、赤い西郷大橋がよく見えます。

西郷大橋を背景に(写真はクリックすると大きく表示されます)

9時半から調査開始。所長のYさんと指導主事(調整幹)のSさんにご対応いただきました。Yさんは昨年度まで有木小学校の校長でした(ちなみに、昨年度まで所長だったKさんが今年度から有木小学校の校長に)。

Yさん(右)とSさん(左)

島根県教育庁は県内に5つの事務所を設置しており、隠岐教育事務所はその1つです。隠岐4町村(隠岐の島町・海士町・西ノ島町・知夫村)を管轄しており、教育事務を担ったり、各町村に指導主事を派遣して学校や教員を支援したりしている組織です。

事前にお送りした質問リストをもとに質疑応答が進められました。実質的に初めての調査ということでガチガチに堅い雰囲気になるかなと予想していましたが、追加の質問もたくさん出て良い雰囲気。教員人事や少人数教育、子どもたちの島外進学など、隠岐の教育に関する幅広いお話を伺うことができ、さらには隠岐の地域性にも話が及びました。ここで教えていただいたことは、その後の実習におけるさまざまな場面や体験とリンクしていったのではないかと思います。

和やかな雰囲気

11時に調査終了。そこから10分ほど歩き隠岐自然館へ。ユネスコの世界ジオパークに認定されている隠岐地域の「大地の成り立ち」・「独自の生態系」・「人の営み」について視覚的に学べる施設です。基本的に自由見学とし、1時間弱、展示を見たりオキサンショウウオとおしゃべりしたりしました。ぬめたろうたちは今年も元気(?)でした。

オキサンショウウオとの対話
毎年恒例の構図

昼食後、坂を上って島根県立隠岐高等学校へ。毎年来ていますね(波江は隠岐実習以外でも)。今年もお世話になります。今年度着任されたA校長先生にご挨拶してから図書室へ移動し、まずは先生方とのセッションです。当日はW先生、T先生、M先生にご協力いただきました。

W先生(中央)とM先生(右奥)

W先生の気合が入った資料をもとに隠岐高校の概要や教育研究部が主に担当する教育活動や事業等(隠岐ジオパーク研究、地域みらい留学、「越境」的な学び、DXなど)についてご説明いただき、その後質疑応答や意見交換が行われました。隠岐ジオパーク研究や探究学習については後ほど言及するとして、ふだんから高校生と接している先生方から語られる生徒像や生徒一人ひとりとのかかわり方は大変興味深かったですし(大学教員とはやっぱり違うな~)、離島の高校で働くことについてのリアルな声を聞けたのも良かったです。

T先生を中心に質疑応答・意見交換

14時過ぎから始まった先生方とのセッションは2時間を超え、放課後が近づいてきました。16時半からは生徒たちとのセッションです。今回は、10月の関西研修旅行で関西学院大学西宮聖和キャンパスに来て隠岐ジオパーク研究の成果を発表する予定の5チーム、20名ほどの生徒が来てくれました(10月7日に開催予定の隠岐ジオパーク研究発表会については近日中に告知予定)。

5グループに分かれて生徒たちとのセッション開始

前半は隠岐ジオパーク研究に関するディスカッション。高校生はPCに発表資料等を表示しながら現時点までの成果を話し、それに対し大学生が質問や助言をするという形で進められました。大学生は担当するチームの発表資料や動画(7/9実施の中間発表のときのもの)を事前に見ていたため、初対面どうしでありがちな表面的な意見交換ではなく、もう少し踏み込んだディスカッションができていたのではないかと思います。

大学生の話に聞き入る高校生たち

1時間ほど経過したところでいったん打ち切り、後半はフリートークセッション。高校生活、探究学習のホンネ、進路、大学、聖和キャンパス(がメインキャンパスと比べていかに恵まれていないか)、島の暮らしや遊びなど、話題は多岐にわたり、和やかで楽しい雰囲気でした。10月にまたお会いできるのが楽しみです。

撮影協力、ありがとうございます!
あっという間の2時間

18時半になり、生徒は下校する時間です。学校祭(尼寺原祭)直前ということで学校に残っていた生徒も多く、続々と帰宅していきます。そのような忙しいときに私たちの実習にご協力いただき、ありがとうございました!

今回は下校時に記念撮影(パート1)
記念撮影パート2(2日目おつかれさまでした!)

さて、今回の隠岐高校訪問でも実に多くのことを学びましたが、その中でも軸となるのはやはり隠岐ジオパーク研究です。あらためて説明すると、隠岐ジオパーク研究とは、隠岐高校の「総合的な探究の時間」の中で1・2年生が取り組む地域課題解決型の探究学習活動です。翌日以降の実習活動の中でも、隠岐ジオパーク研究や探究学習自体について言及があったり考えたりする場面があり、そこで隠岐実習メンバーが隠岐ジオパーク研究や「探究」についてどのように考えているか、隠岐高校での先生方や生徒たちの話をどう受け止めたか、そこから何を感じたか、を知ることができました。ある程度は想定内でしたが、私(や隠岐高校の先生方)と大学生(や高校生)との間に少なからずギャップもあることに気づき、そのことについて今なお考え続けています。そのギャップの原因としては、説明不足(コミュニケーション不足)による誤解もあれば、それでは片づけられない本質的な食い違いもあると感じていますが、まだぜんぜん整理できていないため、別の機会にまたあらためて書き記したいと思います。

この日のお昼や夜ごはんのときにちょっとした(うれしい)ビックリがありましたが、長くなりましたのでまた後ほど。3日目のレポートに続きます。

隠岐実習2025~1日目(8/24)~

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8月24日(日)、ついに隠岐実習2025の初日です!集合時刻の11時に全員集まりひと安心。遅刻する不届き者がいたのも遠い昔の話です(今ごろ蒸し返すか)。

大阪大学人文地理学教室のみなさんも同日程で隠岐での地域調査(目的や行き先はぜんぜん違う)ということで、搭乗エリアでなぜか横一列で向かい合って挨拶。

フライトはとても順調で、13時10分ごろに隠岐世界ジオパーク空港に到着。今回の隠岐実習参加者はこちらの7名(履修者6名+LA1名)!

(写真はクリックすると大きく表示されます)

隠岐も暑い!

これまで初日は散歩したり隠岐自然館を見学したりとゆっくりめのスタートでしたが、今回はいきなりヤマ場が来ます。ということで、休憩もそこそこに、ホテルのロビーで仕上げの作業と最終打ち合わせです。

何やら細々としたものがたくさん

ホテルを出発し、16時ごろに有木小学校に到着。そう、この日は有木地区の夏祭り。昨年に引き続き、今年も出店させていただけるということで、まずは校長先生や教頭先生、PTAの方々にお礼のご挨拶。その後さっそく出店準備です。

お店の準備完了!
今回の景品たち

今回は魚釣りクイズとうちわづくりの2本立てです。魚釣りと書いてしまいましたが、実際には獲物は2種類あり、魚類を釣ると雑学クイズ、地域(11道府県)を釣るとご当地クイズに答えることになっています。クイズに答えられたら景品がもらえます。魚釣りの獲物や道具、景品はすべて学生たちが手作りしました(波江も某県の制作を担当)。

どこでしょう?

そして、希望する子にはうちわ(白無地か黒無地のどちらか1つ)を渡し、ペンや色鉛筆、ステッカーなどで自由にデコレーションできるようにしました。景品にはプラ板で作ったアクセサリー(ひも付き)もあり、うちわに取り付けることもできます。

17時から体育館でオープニング。今年も子どもたちが銭太鼓を披露してくれました。

上手!

いよいよ夏祭りスタート。さっそく多くの子どもたちや親子が続々と来てくれます。学生たちは休むヒマがないぐらいでした(といいつつ、うまく調整して他のお店に出向き、夏祭りを満喫していました)。

受付でルールの説明
釣った獲物に対応するクイズに答えます
何度も来てくれる子は魚釣りがどんどん上達
うちわは黒が人気
自分たちも夏祭りを満喫
終盤でも大盛況!

今回の出店内容は、子どもたちだけでなく先生方や地域の方々にも大好評でした。隠岐実習の一環として夏祭りでお店を出すねらい・目的は十分達成されたのではないでしょうか。反省点としては、用意したクイズが子どもたちにはちょっと難しすぎましたね・・・(たとえば、Q:島根県の面積は北海道の何分の1? 選択肢:①10分の1、②12分の1、③15分の1)

ところで、夏祭りが始まってすぐ、私は山陰中央新報社の方から声をかけられ取材を受けました。また、学生の1人もインタビューを受けたようです。記事にしていただけるとのことで楽しみにしていたところ(ホテルでは毎日新聞を確認していました)、9月1日の紙面に記事が掲載されました。山陰中央新報デジタルでも読むことができます(「隠岐諸島で養う教育観 関学大生7人が現場実習」、要会員登録)。素敵な記事にしていただき、ありがとうございました。

大学に新聞をお届けいただきました

気がつけば19時近く、もうすぐ夏祭りも終わり・・・と思いきや、今年は最後に手持ち花火をするということで、子どもたちはグラウンドへ。PTAの方から注意事項が伝えられた後、1本ずつ花火が手渡されました。ご厚意で大学生も花火をいただけることに。薄暗くなり始めたグラウンドに花火の光と歓声が広がり、今年の夏祭りはフィナーレを迎えました。

夏の夜と花火のコントラスト
大学生も楽しそう

実習初日のレポートはここまで。2日目(8/25)に続きます。

隠岐実習2025~目次とプロローグ~

8月24日(日)~29日(金)に、6回目となる隠岐実習を実施しました。これから7回に分けてレポートを掲載していきたいと思います。隠岐実習2025レポートの目次は下記のとおりです。

ちなみに、過去の隠岐実習レポートは、20192021202220232024から読むことができます。

さて、今回の隠岐実習も充実してめっちゃ楽しかったですが、いきなり初日のレポートから入るのではなく、行くまでのことを少し書いておきたいと思いました。・・・もったいぶってるんじゃないですよ。反省も含め、準備はやっぱり大切ということで。

今回もkwic配信、ポスター掲示、SNS上での発信、履修説明会開催などいろいろやって科目の周知に努めましたが、履修者募集にはとにかく苦戦しました。「隠岐実習ももう潮時かな・・・」と思ったのも事実です。6回目にして初めて追加募集を行い、なんとか6名集まってほっとしました。

隠岐実習は、正式には「教育課題探究実習(隠岐地域における課題探究と教育実践)」といいます。今回もいろんな人に勘違いされましたが、これは「ゼミ」ではなく、毎回履修者を募集する科目であり、学生はけっして安くはない参加費を払って履修する実習であることをあらためて強調しておきたいと思います。

ただ、科目的にはけっこう恵まれていて、必要経費は大学の「グローバルチャレンジ推進費」から支出されています(このあたりの詳細は今年度中に刊行予定の報告書を参照)。また、ラーニング・アシスタント(LA)をつけることもでき、今年度は昨年度の実習経験者であるSさんとSさんが事前ミーティングのサポートなどを担当してくれました。このうちSさんは(どっちや)現地実習にも同行しました。

履修説明会(4/11)で話すSさんとSさん

今年度は履修者募集の段階から「教育課題の探究」という科目の原点に立ち返ることをテーマとしました。現地実習を終えた今、それは間違いではなかった確信しています。ただし、「教育課題の探究」とはそもそもどういうことで、何を目指すのかをさらに突き詰める(理論的にも実践的にも)必要があるとも感じています。

5月7日(水)の昼休みに第1回ミーティング(顔合わせ)を実施し、その後8月下旬まで、計16回のミーティングを重ねました。計算してみると、総時間はなんと37時間以上(2,245分)💦けっしてダラダラやっていたわけではなく、例年以上に事前準備がしっかりできているという実感はありました。しかし、これだけやっても出発直前や現地に行ってからバタバタした部分はありましたので、なかなか難しいですね・・・。また、毎度のことながら、全員のスケジュールがまったく合わないのも悩ましいところでした。

ここでインスタアカウントを紹介(私のじゃないです)。

ぜひフォローを!

名前は少し(?)風変わりですが、先ほど紹介したSさんとSさんが立ち上げた隠岐実習2025のアカウントです。単なる記録ではなく、履修学生とともに事前ミーティング(S.I.さんについては現地実習も)に参加して感じたことや、LAという立場でかかわることの難しさなども率直に記されています。ぜひご覧いただければと思います。

しかし、大学の一教員としては、ミーティング時間の多さは反省しないといけないですね。というのも、2,245分というのは、1科目に必要とされる授業時間1,350分を大幅に超えてしまっているからです😓もちろん、各学生は毎回参加できたわけではなく、実参加時間数はもう少し少ないはずですが。科目のコンセプト的にどうしても時間がかかってしまうのはやむを得ないのですが、事前学習・事前準備の進め方は見直さないといけないと思います(と毎回反省している気がします)。

そんなこんなで8月に入ってからの追い込み準備を経て、実習初日を迎えました。今回の実習は初日からフルスロットルだったのですが、その様子は次回レポートにて(9/8公開予定)。

2025年度「教育課題探究実習(隠岐)」の履修者を募集します

今年度も「教育課題探究実習(隠岐)」、いわゆる「隠岐実習」を実施します。教育課題探究実習(隠岐)とか隠岐実習とはなんぞや? という人もいると思いますが、先に履修説明会などの案内をさせてください。

履修説明会

  • 日時:2025年4月11日(金)12:50~13:15
  • 場所:西宮聖和キャンパス 2号館1F リプラ・メインステージ
  • 内容:前半は担当教員(波江)が科目(実習)の概要や履修方法等について説明します。後半は2024年度実習経験者が登場する予定です。
  • 備考:スケジュールの都合等で参加できない人には個別に対応しますので、遠慮なくご相談ください。

履修ガイダンス動画・履修者募集要項

関学関係者のみアクセス可となっています。

「教育課題探究実習(隠岐)とは

離島地域(島根県隠岐地域)をフィールドとして、教育実践や実地調査を通して教育や地域の魅力・課題について主体的に学び、探究する実習科目です。2019年度にスタートし、今回で6回目となります。これまでの実習の内容や様子については、隠岐実習2019隠岐実習2021隠岐実習2022隠岐実習2023隠岐実習2024をご覧ください。

  • 教育学部開講の通年科目
  • 単位数:2単位(履修単位数制限外、卒業単位に含む)
  • 履修資格:2年生以上
  • 定員:15名(程度)
  • その他、参加費や履修にあたっての注意事項、履修方法等については履修要項をご確認ください。