2023年3月8日(水)~10日(金)の2泊3日で鹿児島に行ってきました。主な目的は、大崎町での調査(視察)です。ここではごく簡潔に(写真も控えめに)調査内容を報告したいと思います。実は今回が鹿児島初上陸で、他にもいろいろ巡りましたがそのへんは割愛します。写真はインスタにアップしたので興味があればのぞいてみてください。
大崎町への行き方はいくつかありますが、今回は新幹線で鹿児島中央駅へ→鹿児島中央駅~鹿屋間直行バスで鹿屋市へ(ここまでが8日)→(9日朝)路線バスで大崎町へ、というルートで行きました。直行バスは途中フェリーに乗るのです。フェリー乗船中に撮った桜島の写真を1枚だけ(写真はクリックすると大きくなります)。
大崎町ってどこ? なぜ大崎町で調査? と思った人は、こちらのページをご一読ください。わかりやすく一言でいえば「リサイクル率日本一の町」です。大崎町の取り組みを実際にこの目で見てみたいと前々から思っており、ようやくその機会をつくることができました。
今回の調査では、一般社団法人大崎町SDGs推進協議会で広報PRを担当している中垣るる氏(ご所属は合作株式会社)に大変お世話になりました。朝9時過ぎに事務局のあるジャパンアスリートトレーニングセンター大隅でご挨拶した後、まずは埋立処分場(曽於南部厚生事務組合清掃センター)へ。
ここが大崎町(と志布志市)が本気になってごみ問題に取り組む発端となった場所です。廃棄物の最終処分場は何箇所か見たことがありますが、埋立地の中まで入れたのは今回が初めてで驚きました。ごみの埋立作業を目の当たりにしながらいろいろ教えていただきましたが、すでに長くなりつつあるため詳細は割愛します(^^;) 「ここをいかにして延命化するか」が取り組みの根底にあるのですね。
次に、大崎有機工場へ移動しました。上で「気になるにおいはほとんどなかった」と書きましたが、それは生ごみが含まれていないからというのが大きいです。大崎町では生ごみは分別収集され、すべて大崎有機工場で堆肥化されています。この工場自体は町営でも第三セクターでもなく、民間企業が運営しています(後述する有限会社そおリサイクルセンターが運営)。
単なる生ごみ処理(堆肥化)ではなく、約半年かけて質の良い完熟堆肥を作っているというのがポイントです。途中段階の堆肥の山(生ごみと草木類などを混ぜたもの)は高温(80~90℃)となっており、湯気が上がっていました。こちらの施設でも嫌なにおいはほとんどなく、分別収集された生ごみから相当な量の完熟堆肥が製造され、それがまた農業→食品へと循環していくことが実現しており、実際にその様子を目にして感銘を受けました。
最後は、そおリサイクルセンターの視察です。資源ごみの選別・梱包・一時保管などを行う施設であり、大崎有機工場と同じく民営です。大崎町において27分別された資源ごみの大半がここに搬入されます。ここでさらに細かく分解・選別され、資源ごとに業者に引き取られていきます。選別の細かさや質(汚れがないかなど)は売却益(逆有償の場合は引取価格)に大きく影響するため、従業員等による手選別・手作業がかなり行われていたことが印象的でした。なお、こちらで大崎町SDGs推進協議会専務理事・業務執行責任者である齊藤智彦氏と少し話をすることができました。
以上3箇所の施設はそれぞれ離れて立地しているので、移動中の車内でも中垣さんから多くのことを教わり、また私からは離島(主に隠岐の島町)のごみの話などをさせていただきました。大崎町のごみに関する取り組みはもちろんのこと、大崎町や大隅半島の地理的特徴についても学ぶところが多かったです。高齢化・人口減少などの課題がある一方で、ケンタッキーフライドチキンに鶏肉を供給しているジャパンファームの本社があるなど、食料生産・供給という面で豊かな地域でもあるのですね。
事務所に戻ってから、大崎町教育委員会や町内小・中学校の先生方とともに今年度進めてきた環境学習プロジェクトについてもお話を伺うことができ、資料もご提供いただきました。このプロジェクトを担当した井上雄大氏が事務所におられたので急遽ご説明いただき、大変ありがたかったです。
今回得た知見は、今後の研究・教育、ならびに隠岐の島町等との連携などに生かしていきたいと思います。視察調査を通じてお世話になった方々に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました!