2023年3月17日(金)、福岡県三潴郡大木町(おおきまち)で調査を行ってきました。大木町は、2020年度のリサイクル率が65.4%(全国第6位)であり、「循環のまちづくり」に取り組んでいる自治体です。写真とともに簡単に振り返ります。
早朝、九州新幹線「さくら」に乗り、10時過ぎにJR久留米駅に到着。そこからバスで西鉄久留米駅へ移動し、西鉄電車に乗って大牟田方面へ。目的地の最寄りである八丁牟田駅に到着したのは11時半頃でした。
八丁牟田駅のすぐ近くに「大木町かんけい案内所」というところがあり、小型電動自動車「コムス」や自転車を借りることができます(ただし3月26日で閉所するそうです)。雨予報でしたが、本降りにはならないと判断し、自転車を借りることにしました。
自転車で7~8分ほど走って目的地の「道の駅おおき」に到着。すぐに昼ごはんとしましたが、その話は後述します。
先月、日本の自治体として初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町に行ってきましたが、その上勝町に続いて全国で2番目に大木町は「ゼロ・ウェイスト宣言(もったいない宣言)」を行いました。その大きな拠点となっているのが「おおき循環センターくるるん」です。
今回は有料の視察見学を利用しました。施設内に入ると、名前入りのボードが迎えてくれました。
まずは環境学習室にて1時間程度レクチャーを受けました。説明してくださったのは、「循環のまちづくり住民ガイド」の方です。以前は役場職員が視察対応を行っていましたが、視察受入数が増加して業務に支障をきたすようになったため、2019年度から住民ガイドが対応するようになったとのことです。パワーポイントや動画も使いながらとても丁寧にご説明いただいた方の正体が終盤で明かされました。なんと、前町長だったのです!
質疑応答の後、施設見学に移りました。大木町では週2回、生ごみの分別収集が行われており、収集された生ごみはこの施設に集められます。
2006年11月に稼働開始したこの施設(バイオマスセンター)では、生ごみやし尿、浄化槽汚泥がメタン発酵処理され、液肥が生成されます。液肥は貯蔵され、農業の町である大木町の農地に還元されています。また、処理過程で発生したバイオガスを利用して発電が行われており、施設で利用する電力の大半を賄っています。
次に、大木町環境プラザも見学しました。環境プラザは別の場所にあるので、住民ガイド(前町長)は車で、私は自転車で移動しました。筑後平野のど真ん中に位置しているので、どこまでも平たい農地が広がる景色を見ながら自転車を漕ぎ(ちょっと風が強かった)、10分ほどで到着しました。
大木町の各ごみステーションでは月1回資源ごみ収集が行われていますが、町民は環境プラザに資源ごみや粗大ごみを持ち込むこともできます。日曜日も開場しているため、ここに資源ごみを持ってきて分別する町民のほうが多いそうです。場内にはたくさんのケースやコンテナなどがあり、かなり細かい分別が行われていました。
また、ここには「リユースプラザくるくる」もあり、町民から出された不用品で再利用可能なものが安価で販売されています。
そして、こちらにも液肥貯留槽があります。
他にも多くのことを教えていただきましたが、ずいぶんと長くなってきましたので割愛します。2時間以上にわたってご対応いただきました住民ガイド(前町長)のI氏(伏せ字にしなくてもよさそうですが・・・)や環境プラザの職員の方など、お世話になった方々に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました!
ここからは、ごみ以外の話も少しだけ。道の駅おおきには「デリ&ビュッフェくるるん」があり、大木町の農作物をふんだんに使った料理をいただくことができます。11時半過ぎに入店したら、すでに大盛況でした。とても美味しかったです!
Googleマップで見るとよくわかりますが、大木町(というか筑後平野)には多くの水路(クリーク)が見られます。自転車で走り回ってその様子を目にすることができました。
雨が降り始め、八丁牟田駅へ向かって急いで自転車を漕いでいたら、生ごみ回収容器を発見! 町民はこの容器に生ごみを入れ、それが処理されて液肥(と電力)になり、液肥が還元された農地で育った農作物が地産地消レストランで使われたり道の駅で販売されたりしている(もちろん全国出荷もされている)、という「循環のまちづくり」の一端を学んだ、日帰り出張でした(完)。