隠岐実習2024 DAY2(8/25)

隠岐実習2024 DAY1からの続きです。(以下の写真はクリックすると大きく表示されます)

この日は朝からシーカヤックの予定(ユネスコ世界ジオパークに認定されている隠岐を体感するためのアクティビティ)。しかし、朝目覚めると雨音に加えて雷も・・・。雨はともかく雷はまずい・・・。久しぶりに雨男っぷりを発揮してしまったかと絶望的な気持ちになりましたが、離島ではなるようにしかならんということで、とりあえずホテルを出発。

すると、なんということでしょう。都万に近づくにつれて空がどんどん明るくなっていきます。そして、海洋スポーツセンターに到着したときには雨はすっかり上がり、風もそれほど強くない。確認したところ、途中で雨が降るかもしれないが予定どおり実施できるとのこと。今年の学生も「何かもってる」のか?

今回は洞窟カヤックということで、着替えを済ませてから小津久(おづく)海岸まで移動。洞窟カヤックは3年ぶりです。今回も隠岐ジオパークツアーデスクのSさん・Iさんにガイドしていただきます。

発着地点の小津久海岸。このころにはこの青空!

2人1組でカヤックに乗り込み、少し練習してから洞窟を目指して漕ぎ出していきます。コツがつかめず悪戦苦闘するペアもいましたが、30分ほどで洞窟に到着。圧巻の景色を見ながら、しばし島の成り立ちに思いを馳せます。

洞窟を進みさらに奥へ
暗礁に乗り上げないように(物理的に)慎重に漕いでいきます

結果的には雨に降られることもなく、2時間弱の洞窟カヤックは無事終了! 海洋スポーツセンターに戻り、シャワーや着替えなどを済ませてから、近くのレストラン凪さんで昼食。

13時半に海洋スポーツセンターを出発し、次は五箇地区へ。事前ミーティングでは隠岐温泉GOKAに行くという話も出ていましたが、この日のメインイベントが控えていることなどを考慮し、水若酢神社の訪問だけにして、早めに西郷地区に戻ることにしました。

隠岐で最も由緒ある神社のひとつ

さて、ここまで特に言及しませんでしたが、この日は日曜日です。昨年と同様、役場も学校も休みの日曜日に何をするかは懸案事項であり、どうすれば有意義な実習になるか、事前ミーティングで議論を重ねました。結論を先に示すと・・・

夏祭りに出店!

有木小学校で開催された夏祭りに参加させていただきました!

経緯を簡単に説明します。今回の参加メンバーは小学校教員を目指している学生が多く、隠岐実習では小学生とかかわりたいという希望がありました。しかしながら、今年度はどの小学校も2学期開始は9月からということで、隠岐実習2022のときのような小学校訪問は実現しそうになく、別の手がかりがないか模索しました。

有木小学校のY校長先生に相談したところ、8月最後の日曜日にPTAが主催する夏祭りがあり、それに参加するのはどうかというご提案をいただきました。さっそく学生に伝えると前向きな反応があり、PTAもOKということで、出店が決定! 隠岐実習5回目にして初めて、というか、有木小の夏祭りに参加すること自体が初めてです。

ちなみに、Y先生とは最初の隠岐実習(隠岐実習2019)のときに出会い(当時は島根県教育庁隠岐教育事務所におられました)、環境教育副読本制作でも大変お世話になりました。隠岐実習は人の縁によって成り立っているとつくづく思います。

話を戻すと、DAY1の夜にようやく準備が終わり、お店で使用する物品一式を持って16時ごろに有木小に到着。Y先生やW教頭先生、PTA会長さんらに挨拶した後、お店の準備です。

出店準備

今回の目的は、夏祭りへの参加を通じて隠岐の子どもたちと交流しお互いのことを知ることです。それを軸に出店内容を考え、千本引き(紐くじ)を行うことにしました。紐の先には関西や隠岐に関するクイズが書かれた紙があり、クイズに正解すると景品がもらえるというものです。景品(3種類)も自分たちで自作しました。

17時から夏祭り開始。まずはオープニングということで、体育館にてY先生のご挨拶があり、「スペシャルゲスト」として私たちのことをご紹介いただきました。その後、ステージにて子どもたちによる銭太鼓のパフォーマンスがありました。そしていよいよお店のスタートです。(以下、写真掲載の承諾はいただいており、写真にはぼかし処理を施しています)

さっそく来てくれた子どもたち

最初はお互い様子見という感じでしたが、積極的に呼び込みに行くと子どもたちが来てくれるように。クイズを通じて子どもたちとの距離が近づき、子どもたちも大学生も楽しそうです。

子どもと目線を合わせて(奥は有木小の先生方のブース)
クイズが難しいときはどんどんヒントを出します
シフトを組んでお店を担当

自分たちのお店だけでなく、先生方のお店の一部(射的)の手伝いもさせていただきました。また、空き時間には他のお店をめぐり、思い思いに夏祭りを楽しみました。

射的のお手伝い
最後までこの盛り上がり(中には何度も来てくれた子も)
地域総出で開催されているお祭りでした

19時に夏祭り終了。全員で撤収作業を行い、19時20分過ぎに有木小をあとにしました。何もかもが初めてでどうなることかと思いましたが、休日にしかできないとても有意義な学びや経験になったと思います。このような機会を与えてくださった有木小関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました!

DAY3に続きます。

隠岐実習2024 DAY1(8/24)

今年も隠岐実習を実施しました! 今回は、3週にわたって週末にレポートを公開していきたいと思います。まずは第1弾、初日のレポート!(以下の写真はクリックすると大きく表示されます)

8月24日(土)13:25ごろ、ほぼ定刻どおりに隠岐世界ジオパーク空港に到着。今回は過去最多となる11名の学生が参加!(うち1名はラーニング・アシスタントとして2年連続参加)

今年も横綱牛さんが迎えてくれました
空港を背景に記念撮影

ホテルに荷物を置いた後、恒例化しつつあるルートを散策しながら西郷港方面へ。昨年も大変暑かったですが、今年もなかなかの暑さ・・・。

分かる人には分かるトンネル

15時ごろから隠岐自然館の見学。展示内容は毎年ほとんど変わらないですが、五箇中学校の「総合的な学習の時間」の成果物である動画や隠岐高校と連携した展示も見られました。

隠岐実習ではやたらと記念撮影をします(させられます)
八百杉と3年生トリオ!
中学生や高校生と連携した展示も

隠岐自然館をあとにし、その目の前にある喫茶ゆらぎで少し(?)休んだ後、西町にある京見屋分店さんへ。隠岐実習2023ではイベント開催にご協力いただくなど、毎年お世話になっております。居心地の良い空間で、ついつい長居をしてしまいました。

お土産を買ったり撮影会をしたり(?)
いつまでも終わらない戦い(そして某准教授の失態により終わりは突然に・・・)

初日の夕食は西郷港近くの某店にて。食も隠岐実習の学び(&楽しみ)の1つなり。

ウェルネスで大量の買い出しをしてから、15分ほど歩いてホテルに戻り、初日のミーティングを実施。ミーティングというよりも作業ですね。さて、何の作業なんでしょうか? 答えはDAY2のレポートで明らかに!

隠岐実習といえば「初日の夜から本気出す」

初日だし、これぐらいで。DAY2に続きます(9/1公開予定)。

2023年度「教育課題探究実習(隠岐)」報告書を作成しました

2023年度「教育課題探究実習(隠岐)」報告書が完成しました! 2019・2021・2022年度に続き、4冊目となります。今回は折込付録付き!

左から2019、2021、2022、2023年度の報告書。折込付録もチラリ。

構成(章立て)は以下のとおりです。2022年度の報告書を踏襲し、今回も参加学生による力のこもった報告・提案が揃いました。

第1部

Ⅰ 大学生からの提言からみえてくる隠岐地域の課題と可能性―2023 年度「教育課題探究実習(隠岐)」の報告と考察―(波江彰彦)

Ⅱ 現地実習報告(学生による分担執筆)
 1.隠岐高校
 2.都万中学校
 3.島前地域
 4.隠岐の島町役場
 5.イベント

Ⅲ 隠岐地域の魅力と課題、ならびに課題解決に向けた提案(学生全員)

Ⅳ 実習を終えて(学生全員)

第2部

2023 年度隠岐ジオパーク研究発表会および関連イベントに関する報告
付録

今回の実習でお世話になった皆様には順次郵送いたします。1月末~2月上旬にはお届けできるかと思いますので、いましばらくお待ちください。なお、本報告書は学生によるレポートでもあるため、ウェブ上での全文公開は考えておりません。もしご関心がありましたら、まずは波江までお知らせください。

隠岐ジオパーク研究発表会および関連イベントを開催しました(2023年10月12日)

2023年10月12日(木)、今年も島根県立隠岐高等学校のみなさんが西宮聖和キャンパスにやって来てくれました。隠岐高校の関西研修旅行の一環であり、2019年度2022年度に続き、3回目のご来学、ならびに発表会開催となりました。

今回、関学で発表するのは下記の5チーム(残りの9チームは大阪大学・立命館大学で発表)。9時になり、リプラ・メインステージにて発表会スタートです。(以下の写真はクリックすると大きく表示されます)

W先生による趣旨説明
会場の様子

1チーム目(1班)のタイトルは「Protect Oki from Marine Debris」。海ごみ問題に着目し、自分たちで海中のごみを調査したり、シュノーケリングゴミ拾い体験イベントを企画および実施したり、すでにかなり活動を進めているチームです。こうした活動を通して、韓国でのごみの現状はどうなっているか、また、海ごみ問題への取り組みを持続していくためにはどうすればよいかということに関心を持つに至り、韓国の関係者とのオンライン交流を行っていくなどの活動方針が示されました。

1班の発表の様子

2チーム目(3班)のタイトルは「隠岐のお土産」。隠岐の観光の課題としてリピーターが少ないことに着目し、お土産を工夫することでリピーターの獲得につながるのではと考えました。島内における主要な土産品や販売場所の調査から、長期間手元に残るお土産が少ないという課題を見出し、オリジナルコースターを製作するという解決方法を提案しました。しかし、島内でコースターを製作している事業所からの指摘を受けていったん立ち止まり、今後の探究活動の方向性を模索している現状が報告されました。

3班の発表の様子

3チーム目(12班)のタイトルは「触れて学ぶおきごはん」。認知度の低い郷土料理を広めるにはどうすればよいかという課題に対し、このチームは食育に可能性を見出しました。特に子どもに興味を持ってもらうために郷土料理のおもちゃ製作を計画し、島内の工務店に提案しましたが、技術的な課題などを指摘されました。そこで、ガチャガチャを使って郷土料理を広めるという方向に転換し、景品として郷土料理のキーホルダーを製作し、ガチャガチャを回した観光客などが郷土料理に興味を持ち実際に食べることにつなげようとするアイディアが提示されました。

12班の発表の様子

4チーム目(13班)のタイトルは「祭りの島 隠岐の島~祭・知・盛~」。隠岐の祭りの知名度が低いことや祭りの運営者不足などの課題をふまえ、このチームは隠岐の若者に祭りを広め次世代につなげることを目標に設定しました。布施地区で行われている大山神社祭礼を対象とし、子どもたち(小学生)に祭りの内容を知ってもらい、簡単な体験もできる「お祭りふぇす」の開催を企画しています。開催に向けて保存会の方々と計画を立てること、またSNSで情報発信を行っていくという活動方針が示されました。

13班の発表の様子

5チーム目(14班)のタイトルは「記憶に残る 家族で繋がる 原始人体験」。隠岐には体験型観光が少ないという課題がある一方、質の良い黒曜石の産出地であり古い時代から人々の営みが続いてきたという点に着目し、原始人体験ができる観光アクティビティの企画開発を進めています。イノシシの骨を用いた釣り針作りや黒曜石を使った魚捌きの実験結果が報告されました。この発表会の前日には企業でのプレゼンがあり、その企業とのコラボも視野に入れながら、単発では終わらない持続可能な体験型観光の実現を目指すという展望が示されました。

14班の発表の様子

今回は過去2回と比べて大学生の参加者が多く(私が担当する授業と連動させたからですが)、それぞれの発表に対して活発な質疑応答がみられました。

質疑応答の様子(&発表会運営を担当した隠岐実習メンバー)
大学生の率直な質問・意見を受け止め、しっかり返答する姿が印象的でした

すべての発表終了後、各チームの中に大学生が入り、発表の振り返りや意見交換が行われました。

発表振り返りの様子
約30分間、意見交換が続きました

その後、全体講評として私からいくつかコメントさせていただきました。今年度のジオパーク研究は全体的に活発であり、8月に隠岐高校を訪問して各チームの活動状況を聞かせてもらったときは「今後どこまで探究が進展するんだろう」と期待が高まりました。少し期待しすぎたのかもしれませんが、今回の5チームの発表内容に対する感想としては、どのチームも行き詰まっている、頭打ちになっていると感じ、そのことを率直に伝えました。しかし、それは悪いことではなく、どのチームも重要な局面に差しかかっていると捉えるべきだと思います。行き詰まり、頭打ちの原因はチームごとに少しずつ異なりますが、アカデミックな立場から先行研究の重要性について述べ、現状突破のために先行事例・類似事例の調査・分析をしっかり行ってほしいと伝えました。そのほか、

  • 目的から結論(到達目標)までの一貫性を意識すること
  • みなさん(隠岐高生をはじめとする若い世代)が変わることが内発的に隠岐を変える力になる、それは隠岐に居住している人たちにしかできないこと
  • 関係とは双方向的なものであり、みなさんも私たち(大学教員・大学生・研究機関)とかかわり続けてほしい、それも「関係人口」の在り方のひとつだと思う(定義や本来の文脈とは異なりますが)
  • 持続可能な活動のポイントは外部とどんどんつながっていくこと

といったことを述べさせていただきました。最後に隠岐高校のW先生からもご講評と閉会の挨拶をいただき、発表会は無事終了しました。

なお、この発表会にあわせて今年度の隠岐実習の成果報告ポスターを作成し(ほとんど写真ですが😅)、会場で展示しました。このポスターはリプラ1Fの片隅でしばらく展示しますので、ぜひご覧ください!

隠岐高生たちも興味を持ってくれました

昼食休憩後、13時から聖和キャンパスのツアーを実施しました。3グループに分かれ、隠岐実習メンバーが案内を担当しました。おもちゃとえほんのへやにも入らせていただき、聖和キャンパスの魅力を感じていただけたのではないでしょうか。

良い天気!
おもちゃとえほんのへや!

13時40分から634教室に場所を移し、「大学ってどんなところ?」と題したトークセッション(?)を実施しました。私からは関西学院大学教育学部の紹介のほか、高校時代の多様な経験・実績とその後のキャリアとの関係や大学教員の仕事などについて話しました。次に、隠岐実習メンバーが1人1テーマを担当し、大学での学び、ゼミ、キャンパスでの過ごし方、課外活動、遊び、学祭などの行事について5分ずつトークしました。

大学ってどんなところ?学生ver.

15時少し前、記念撮影を終えてから、いよいよ聖和キャンパスを出発し、徒歩で上ケ原キャンパスへ向かいます。

発表会会場の2号館の前で
続いて、山川記念館を背景に

徒歩15分ほどで上ケ原キャンパスに到着。まずはやはり中央芝生へ。時計台を背景に記念撮影。しばらく芝生の上でくつろぎの時間。なぜか隠岐古典相撲の真似事を始める生徒たちも。その後は集合時間だけ決めて、キャンパス内を自由に散策してもらいました(隠岐実習メンバーが同行)。スタバに行ったり、キッチンカーでクレープを買ったり、短い時間ながら大学生気分を味わってもらえたのではないかと思います。

定番の中央芝生!

16時を過ぎ、いよいよ出発の時間が近づいてきました。バスの前に集合し、生徒会長のOさんからお礼の言葉をいただき、私たち隠岐実習メンバーからも1人ずつ感謝の気持ちを伝えました。16時20分ごろ、隠岐高校のみなさんを乗せたバスを見送り、この日のプログラムはすべて無事終了しました。

Oさんからお礼の言葉

今回も隠岐高生の発表から大いに刺激を受け、また楽しく充実した1日を過ごすことができました。最後になりましたが、今年度もご来学いただいた隠岐高校のみなさまに対し、心よりお礼申し上げます。また、隠岐実習メンバーの力があったからこそ、この日のプログラムを無事やり遂げることができました。ほんとうにありがとうございました!

ちなみに、この日私はこんな格好でした(隠岐実習メンバー撮影)

隠岐ジオパーク研究発表会開催のご案内(2023年10月12日)

10月12日(木)9時から、関西学院大学西宮聖和キャンパスにおいて隠岐ジオパーク研究発表会を開催します。当日は島根県立隠岐高等学校の生徒たちが来学し、地域課題解決型探究の研究成果を発表します。どなたでも自由にご参加いただけます(途中参加・途中退出可能)。多くの方々のご参加をお待ちしています。

日時

2023年10月12日(木)9:00~12:00

場所

関西学院大学西宮聖和キャンパス 2号館1階 リプラ・メインステージ

プログラム(発表題目等は変更の可能性があります)
  • (9:00~9:10) 開会の挨拶、趣旨説明
  • (9:10~9:30) 「Protect Oki from marine debris」
  • (9:30~9:50) 「揃えたくなる隠岐のお土産」
  • (9:50~10:00) 休憩
  • (10:00~10:20) 「ふれて学ぶおきごはん」
  • (10:20~10:40) 「祭りの島 隠岐の島~祭・知・盛~」
  • (10:40~10:50) 休憩
  • (10:50~11:10) 「記憶に残る 家族で繋がる 原始人体験」
  • (11:10~11:40) 大学生との発表振り返り、ディスカッション
  • (11:40~12:00) 全体講評、閉会の挨拶
本発表会について
  • 教育学部開講科目「教育課題探究実習(隠岐)」の一環として開催するものです。西宮聖和キャンパスでの対面開催は、2019年度2022年度に続いて3回目です。
  • ジオパーク研究は、隠岐高校の「総合的な探究の時間」において行われている地域課題探究・解決型学習です。今年度の「教育課題探究実習(隠岐)」の現地実習では、8月29日に隠岐高校を訪問し、総合探究の授業に参加してジオパーク研究に取り組む高校生たちと交流しました(隠岐実習2023 DAY4(8/29))。
備考

発表会終了後、聖和キャンパスツアー、大学での学びや大学生活を紹介するセッション(634教室で実施予定)、上ケ原キャンパスツアーも予定しています。

隠岐ジオパーク研究発表会ポスターPDF