「隠岐ジオパーク研究成果発表会」を開催しました(2019年10月15日)

2019年10月15日(火)9時から、関西学院大学西宮聖和キャンパスのリプラにおいて、「隠岐ジオパーク研究成果発表会」を開催しました。これは島根県立隠岐高等学校の関西研修旅行(修学旅行)の一環として、隠岐高校の2年生が約1年間をかけて取り組んできた「隠岐ジオパーク研究」の成果を大学や企業で発表するというものです。

発表会の開催にあたっては、隠岐高校、関西学院大学、同教育学部の各ウェブサイトに開催案内を掲載していただきました。隠岐ジオパーク研究の概要や発表会開催の経緯などについては、下記リンク先をご覧ください(いずれも2019年10月20日最終確認)。

発表会、ならびに関西研修旅行の様子については「隠岐高ニュース」にて報告されています。また、発表会当日は、山陰中央新報の記者の方に取材していただき、10月17日付けの新聞に記事を掲載していただきました。そのほか、関学のKG News、デジタル毎日の@大学倶楽部ニュース(KG Newsとほぼ同内容)、関学教育学部生が運営するTwitterアカウント「これも関学」にもレポートが掲載されました。ご協力いただき、ありがとうございました(下記リンク先は2019年10月20日最終確認)。

以下、発表会当日の様子を写真とともに振り返ります。(写真はクリックすると大きく表示されます。なお、一部の写真は加工されています。)

10月15日午前中は3大学(大阪大学豊中キャンパス・立命館大学大阪いばらきキャンパス・関学西宮聖和キャンパス)に分かれての発表でした。関学には4チーム22名の生徒と3名の先生が来学されました。

会場のリプラがある2号館。
隠岐高校のみなさん ようこそ関学へ!
リプラの入口。
電子黒板にもポスターを表示。
8時20分過ぎ、隠岐高校御一行到着!

予定通り9時から発表会開始。波江は司会進行と講評を担当しました(あと、写真撮影も)。

1チーム目の発表スタート。

1チーム目のプロジェクト名(プレゼンタイトル)は「へか鍋のバトンタッチ~次世代の君たちへ~」です。「へか鍋」とは、肉ではなく魚介類を使ったすき焼きとのこと。隠岐の郷土料理であるへか鍋を守っていきたいという思いのもと、学校給食に採用してもらい、子供たちに受け継いでもらうことを課題として設定しました。へか鍋の試作と実食アンケート、改善を繰り返し、また、子供たちにも知ってもらえるように可愛らしいポスターも作成しました。今後は給食センターへ企画書を提出し、学校給食への採用を目指して交渉していくそうです。

「サザエちゃん」かわいい!

2チーム目は「卯敷の未来を見据える」。最初、卯敷地区に自分たちの提案を持っていったところ、思わぬ反応にあって戸惑ってしまったこのチーム。そこから、卯敷地区の未来のためにまず自分たちは何ができるのかを考え、地区の方々とともに海岸のごみ拾いや草刈りなどに取り組み、地区の課題や住民にとって必要なものごとを汲み取っていきました。そして、住民の買い物の現状をふまえ、地区の10年後、20年後も見据えながら考案したのが、楽に、また楽しく買い物をするためのショッピングカートです。今後も地区に寄り添い、しっかり声を聞きながらカートの改良を進め、住民の方々に提案する予定です。

卯敷の未来は、隠岐の未来、日本の未来でもあります。そんなことを考えさせられる発表でした。

3チーム目は「卯敷カレンダーでマラソンランナーを増やそう!」。そもそも卯敷地区のことを知らなかったというメンバーもいるなど、卯敷地区の知名度の低さは大きな課題です。隠岐の島町にはウルトラマラソンという一大イベントが毎年6月に開催されますが、島半周の50kmコースは卯敷地区を通りません。そこで、50kmコースの参加者に、卯敷地区のことを知ってもらい、また、島一周の100kmコースにエントリーしたくなるようなカレンダーを渡すのはどうか、というのがこのチームの提案。今年のウルトラマラソンにボランティアとして参加し、参加者に直接話を聞いたりアンケートを実施したりして、オリジナリティのあるカレンダーを作成しました。来年度、まずは上位入賞者に賞品として渡せないか交渉する予定です。

卯敷地区の風景写真と、ランナーの参考になりそうなトレーニング情報を掲載。

3チーム目の発表終了後、発表会をいったん中断し、隠岐高校のみなさんはチャペル・アワーに参加しました。11:10から発表を再開。トリを飾る4チーム目のプレゼンは「釣りプロジェクト in 布施」です。

リプラは西宮聖和キャンパスのラーニングコモンズ。1限終了後から人が増えてきました。

8月頃になってからプロジェクトをガラッと変えたというこのチーム。大きな出遅れは否めませんでしたが、そこからの追い上げがすごかった。隠岐の魅力のひとつである魚釣りを活かして関係人口を増やそうというプロジェクト。ビジネスモデルキャンバスというフレームワークを利用して、誰をターゲットにするのか、どのような価値(ハッピー)を提供するのか、どのように伝えるのか、コストはどのくらいかかるのか(収支の試算も提示)、などをひとつひとつ検討していきました。すでに大きな実績を残しているウルトラマラソンのノウハウも活用しながら島内外の釣りファンを呼び込むイベントを開催する、という提案は、フロアに大きなインパクトを与えていました。

釣りイベントのネーミングもすばらしい!(あえてここには書きません)

それぞれの発表に対して、フロアから積極的に質問が投げかけられました。それに対して、生徒たちはしっかり受け答えしていたように思います。8月の最終中間発表のときと比べて、発表内容・プレゼン・質疑応答のいずれも大きな進展・成長がみられました。

ところで、発表会場では、波江と教育学部生8名が隠岐地域において実施した「教育課題探究実習(隠岐実習)」の成果を発表するポスターも展示しました。隠岐実習に参加した学生は、ポスターづくりのほか、発表会への参加と運営にも積極的にかかわってくれました。

「教育課題探究実習」の成果報告ポスターその1。(左は波江が作成したものです)
「教育課題探究実習」の成果報告ポスターその2。
積極的に質問してくれました。
隠岐誉3人組。

発表会が終わったらお待ちかねの昼食です。今回、西宮聖和キャンパス唯一の食堂「マナ・ホール」を利用していただきました。昼食後は3班に分かれて、聖和キャンパスツアーを行いました。ツアーを担当してくれたのも隠岐実習参加の3名でした(=SCCV所属;SCCVは聖和キャンパスをより魅力的にするためにさまざまな活動している学生ボランティア団体です)。

聖和キャンパスツアーの様子その1(図書館前)。
聖和キャンパスツアーその2(奥に見えるのが正門)。
みんなで記念撮影@聖和キャンパス。

やや慌ただしかったですが、聖和キャンパスでのイベントはすべて終了し、次は西宮上ケ原キャンパスへと向かいました(狭い道をなんとかくぐり抜けるバスの運転手の技術に感服)。上ケ原キャンパスでオープンキャンパスの運営などに携わっている学生サークル「KG CLUB」所属の文学部生がキャンパスツアーを担当してくれました。

関学のシンボルである時計台。
みんなで記念撮影@上ケ原キャンパス。

大学訪問の後、グランフロント大阪にあるナレッジキャピタルの体験ツアーが予定されているとのことで(大変おつかれさまです!)、14時に関学を出発していきました。全行程が無事終了し、お見送りすることができてほっとしました。

至らぬ点も多々ありましたが、今回の大学訪問をとても喜んでいただき、大変うれしく思っています。今回のイベントは、隠岐高校の皆様、関学聖和&上ケ原キャンパスの教職員の皆様、SCCV、KG CLUB、そして隠岐実習に参加した学生たちの多大なご協力を得て実施することができました。あらためて深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

「教育課題探究実習(隠岐実習)」を実施しました:第6日目(最終日)

いよいよ実習最終日、このシリーズも最終回です。これまでの内容は、履修者募集から事前学習まで第1日目第2日目第3日目第4日目第5日目をご覧ください。

実習最終日といっても、この日は「各自フィールドワーク」(という名の自由行動)です。男子学生3名は隠岐酒造に行きました。お目当てのお酒を無事購入し、試飲もさせてもらったそうです。(私は同行していないので写真はありません)

残りの学生5名は「おまかせプラン」とのことだったので、私が思いつくままに歩きました。西郷港フェリーターミナル~2本のトンネル~西郷東大橋~古いトンネル~中町~西町(愛の橋商店街)~京見屋分店に立ち寄り~かっぱ公園~八尾川沿い、と歩いて、サンテラスまで。

私が好きなトンネル。

サンテラスにあるSun’s Garden Cafeで昼食です。まったり過ごしていると、ハンダイジンチリのK林先生と学生さんたちも入ってきました。空港周辺も散策したいので、ジャンボタクシーを利用して直接空港まで行くことにしました。

空港に到着すると、牛さんがいました。10月の一夜嶽牛突き大会のほうに出場するそうです。

空港周辺や空港のある岬地区はお気に入りの場所で、天気が良ければ半日でものんびり過ごせます。実習前半の天気はなんだったんだというぐらいの青空の下、西郷岬灯台までの散歩を楽しみました。

牛さんたちものんびり。
西郷岬灯台。大正時代に建てられたものです。

この日(8/31)は、伊丹-隠岐間を夏季(8月)限定で就航するボーイング737-800の運航最終日です(8月以外はエンブラエルE170が運航)。空港ではセレモニーが行われていました。

池田高世偉町長による挨拶。
しげさ節によるお見送り。

15:30ごろ、無事伊丹空港に到着しました。いくつか連絡事項を伝えて「解散!」のはずが、まさかのサプライズが。

色紙をもらえるとはまったく想定していませんでした。ほんとうにありがとう!

さて、実習初年度の反省や検証は今後きちんと行いますが(というか、報告書作成などが残っているので、まだ「教育課題探究実習」は終わっていませんが)、現時点での振り返りを簡単にしておきたいと思います。

まず、全員ほとんど体調を崩すことなく実習内容をほぼ予定通り消化し、無事に伊丹空港まで帰ってこれたことは何より良かったです。約一週間の実習の責任者になるのは初めてのことで、責任とプレッシャーを感じていましたが、ビギナーズ・ラックじゃないかというぐらい順調だったと思います。

一方、今回はすべてうまい具合に好転しましたが、やはり天候不順等によるリスクは付きものだと感じました。現地の方々のご厚意もあって天候不良の中でも有意義な活動を行うことができましたが、もしそれがなかったとき、うまくリカバリーできたかどうかは検証の余地があると思います。

また、初年度なので当然なのかもしれませんが、準備は正直大変でした。実習責任者がいろいろと準備をするのは当たり前ではありますが、お膳立てしすぎたかなあと思う部分もあります。実習科目、とりわけ、学生の主体的な取組・活動を求める課題探究・課題解決型の実習として、教員がどこまで手出しし、どこまで学生に任せるのか、そのバランス感覚が難しいと感じています。そのあたり、私自身の課題としてもっと追究していきたいと思います。

他にもいろいろありますが、来年度もこの「教育課題探究実習」が実施されるかどうかは現時点では何ともいえないので、これぐらいにしておきます。私自身は続けたいと思っていますが、来年度履修者ゼロかもしれませんし・・・。

本実習を今年度実施できたのは、これまでお世話になってきた多くの方々とのつながりや皆さまのご協力があってこそだとつくづく感じました。今回実習期間中にお会いした方々はもちろんのこと、残念ながらお目にかかる機会がなかった方々も含めて、皆さまにあらためて心よりお礼申し上げます。ありがとうございました!

「教育課題探究実習(隠岐実習)」を実施しました:第5日目

実習第5日目は、都万中学校での授業実践、隠岐教育事務所での調査・意見交換会、隠岐自然館見学、そして懇親会でした。これまでの経緯については、履修者募集から事前学習までから順番にどうぞ。

宿の近くからバスに乗り、隠岐病院で乗り換えて都万線へ。授業をする3時間目まではまだ時間があったので、あえて遠回りで都万中学校へ向かいました。隣接する都万小学校のグラウンド側から校舎をながめていたら、子どもたちが大きな声で呼びかけてくれました。今回授業実践の様子を見学していただくことになった隠岐の島町教育委員会のSさんと合流。

中学校の校舎に入ったら、またも驚きの光景が!(2日連続)

いやはや、ほんとうにうれしいことです。

控室に入ったら、ふたたび! あたたかいおもてなしに感謝です。

波江ゼミ(期間限定)のゼミ生です。

2年生は修学旅行で関西に行っているので、この日は1年生(3時間目)と3年生(4時間目)を対象に授業を行います。45分間まるまる使わせていただけるとのことで、事前学習の時間を利用して企画を練り、授業案を作成し、パワーポイントも準備してきました。

少し早めに1年生教室に入り、お互いの自己紹介からスタート。生徒たちと担任の先生方には、実は実習2日目に会っています。

お互い向かい合って自己紹介。

授業前半は、アイスブレイクも兼ねていくつかのグループに分かれての座談会。最初、生徒たちは緊張している様子でしたが、学生たちの話に耳を傾け、問いかけに答えてくれて、次第に打ち解けた雰囲気が形成されていきました。

座談会の様子@1年生教室。

授業後半は、学生4名がそれぞれの地元(静岡・大阪・京都・奈良)を紹介するプレゼンテーションを行いました。ねらいは2つあって、1つは次年度の修学旅行に向けて関西のことを知ってもらうということ、もう1つは、生徒たちにとっての地元(隠岐)について知ることの大切さについて伝えるということです。学生たちのプレゼンを聞いて、生徒たちはどのように受け止めてくれたでしょうか?(2つ目のねらいを十分伝えるには時間が足りなかったかも。)

地元紹介プレゼンの様子@1年生教室。

振り返りシートを書いてもらい、全員で記念撮影をして3時間目は終了。

次は中学3年生が対象。高校受験やその先を考え始める時期です。その一方で、島には大学がないので、生徒たちにとって大学(生)は身近には感じられない存在です。そうしたことをふまえ、4時間目は大学はどのような場所で何かできるのか、大学生は何を考えて大学生活を送っているのかを知ってもらい、自分の将来を考えるきっかけにしてほしいと考え、授業案を作成しました。

授業案では1年生向けと同じく座談会→プレゼンという順序でしたが、前日の西ノ島中学校での授業の反省をふまえ、急遽順序を入れ替えることにしました。ということで、自己紹介の後、すぐに大学紹介のプレゼンに入りました。

プレゼンの中では、大学生217名から回答を得たアンケート結果も示されました。

続いて、いくつかのグループに分かれての座談会。事前に3年生はおとなしめの(というか内弁慶の)子が多いと聞いていたので、どうなるのかなと様子を見ていましたが、学生それぞれのやり方でコミュニケーションを図り、和やかな座談会になったように思います。公開はしませんが、最後に良い集合写真が撮れました。

座談会の様子@3年生教室。
通称○○ポーズで記念撮影。

学校をあとにし、島唯一のコンビニ(大手コンビニと言ったほうがよいか)であるYショップ隠岐都万店(デイリーヤマザキ系列)に寄って食べ物(とデザート)を買い、バス停で昼食。実習前は昼食の確保について懸念していましたが(島の中心部から離れると店がない)、5日間とも何とかなりましたね。バスが来たので乗車し(学生のほとんどはお昼寝タイム)、やはり隠岐病院で乗り換えて、目的地近くのバス停(宿の近くでもある)で下車しました。

14時半頃から、島根県教育庁隠岐教育事務所にて聞き取り調査、というよりも、ざっくばらんな意見交換会を行いました。Wさん、Yさん、Mさんの3名にご対応いただきました。お三方とも学校現場での経験も豊富な方々です。実習も5日目の午後に差しかかり、多くの経験をしてきました。それを話の材料にしたほうが良いだろうと考え、これまでの実習内容を説明し、そこから話を広げていくという形式をとりました。ここまでお世話になった方々とは異なる立場・視点からの興味深いお話を伺うことができました。

隠岐教育事務所での意見交換会の様子。

16時ちょっと前に隠岐教育事務所を出て向かったのは、隠岐自然館! 宿からすぐ行ける場所にあるのに、この日この時間帯しか行くチャンスがなかったという・・・。なぜかショウ丸君(オキサンショウウオのマスコットキャラクター)のお絵かき大会が盛り上がりつつ(作品を残してきました)、各自展示内容を楽しみました。

八百杉の展示とともに記念撮影(まともバージョン)。

この日はまだ終わりません! 19時から懇親会を開催しました。わざわざ島前から2名(第4日目にお世話になったYさん・Kさん)お越しいただくなど、本実習でお世話になった6名の方々にご参加いただきました。まさかの約30年ぶりの再会もあり(かつての先生と教え子の関係)、途中からジョブフェアのような雰囲気も醸し出しつつ、参加者どうしの交流を深めるとても良い機会と時間になりました。なお、波江の挨拶はグダグダでした・・・(^^;)

表に出せる比較的マイルドな写真を・・・。(って書くと誤解を招きそうですが、全体として和やかな会でしたよ!)

お開きの後、何名かは二次会へ(波江はもちろんこっち組)。学生たちは、隠岐高校のY先生とさらに話し込んだようです。遅くまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

ここまで6回に分けて書いてきた(書きすぎ?)実習レポートも次回で最終回。最終回は、第6日目のレポートと、ごく簡単な振り返りを書きたいと思います。それでは、また次回。

「教育課題探究実習(隠岐実習)」を実施しました:第4日目

実習も後半へ。第4日目は「島前へ日帰りで行くの巻」です。(こちらも読みたい:プロローグ第1日目第2日目第3日目

朝、西郷港フェリーターミナルへ。各自乗船券を購入し、8:30発のフェリーしらしまに乗り込みます。その前に・・・

往復乗船券を手に記念撮影。(どんだけ記念撮影してるのか問題)

この日の朝は雨は降らず、風も穏やかだったので、フェリー内ではあまり揺れは感じませんでした。降りる際、「ぐっすり眠れて体調が良い」と言った学生も・・・。10:05、定刻通り別府港に到着。

そうです、この日の目的地は島前地域の西ノ島町でした。フェリーターミナルで出迎えていただき、雨の中(雨男の実力発揮?)、西ノ島小・中学校へ向かいました。控室に入ったら、驚きの光景が!

これはうれしい。みんな良い笑顔(&にやけ顔)です。

校長先生にご挨拶いただいた後、いよいよ教室へ。今回、学校と西ノ島町教育委員会のご協力により、中学1~3年生を対象に授業を実践する機会をいただいたのです。3時間目は、4人ずつに分かれ、1年生クラスと2年生クラスでの授業です。事前に大まかな授業案をいただいており、その時間枠の中で自分たちで企画した授業を行うということになっていました。傍からは、授業準備にやや苦戦していたようにも見えましたが、さあ、どうなるか?

授業冒頭はアイスブレイクの時間。1年生のほうは担任の先生にやっていただきましたが、2年生のほうは学生が担当しました。

今回最年少のTさんが奮闘中(大阪弁で)。

アイスブレイクの後は、学生からのプレゼンを含んだ座談会。いくつかのグループに分かれ、学生がそれぞれ用意したプレゼンボードを話のタネに、生徒たちとの交流を図りました(5分ごとにメンバー入れ替え)。あっという間に時間は過ぎ、振り返りシートを書く時間に。最後に、生徒の一人からお礼の言葉をもらって、3時間目は終了しました。

2年生クラスでの座談会の様子。

4時間目は3年生クラス。こちらは8名全員での参加です。内容は3時間目とほぼ同じで、アイスブレイク→座談会→振り返りの流れ。こちらも最後に生徒会長(!)からお礼の言葉をもらいました。

3年生クラスのアイスブレイクはHさんが担当。ちょっと苦戦中?
3年生クラスでの座談会の様子。八つ切画用紙に書いたプレゼンボード(現地制作)を使いながらコミュニケーションを図っています。

4時間目の後は・・・給食! とてもありがたいことに、今回、生徒たちと一緒に給食を食べる機会までいただきました。そして給食の後は、昼休み! 学生たちは時間ギリギリまで生徒たちとの交流を深めました。

昼休み、体育館で遊ぶ中学生と学生たち。

名残惜しいですが、昼休みが終わり、学校を出発する時間になりました。今回参加した学生は、何名かは塾講師の経験はあるものの、実際の学校で授業を行う経験はこれまでほとんどなかったと思います。中学生たちはとても協力的で、大学生の話を熱心に聞いてくれました。教育者を目指す学生にとって、今回の学校訪問・授業実践は貴重な経験になりました。ありがとうございました。

午後は、隠岐ユネスコ世界ジオパークについて学ぶことを目的に、教育委員会教育課長のYさんと教育魅力化コーディネーターのKさんに国賀海岸をご案内いただきました。青い空、青い海! ではありませんでしたが、雄大な自然を体感し、悠然と草をはむ牛や馬の姿を間近に見ることができました。いつか摩天崖をゆっくり歩きたいなあ。

国賀海岸と通天橋を背景に記念撮影。

西ノ島町での最後の目的地は、コミュニティ図書館「いかあ屋」です。新しく、そして、中身がすばらしい図書館です。波江は今年3月に初めて訪れた際に感銘を受け、ぜひ学生たちにも行ってほしいと思っていたのでした。

図書館に到着後、まずはKさんから西ノ島町の教育魅力化事業について簡潔にご説明いただきました(詳しくは翌日の懇親会にて、ということで)。その後は、バスの時間まで図書館内で思い思いに過ごしました。

島前地域間における「教育魅力化事業」の相違(特に海士町との違い)や、西ノ島町が取り組む「しまっこ留学」などについてご説明いただきました。
空間としてすばらしいです。
最後もやっぱり記念撮影。

町営バスに乗って別府港フェリーターミナルへ。17:15発のフェリーしらしまに乗船です。天気は良くなってきていたので、デッキに出て、次第に離れていく西ノ島をしばし眺めていました。日帰りで島前に行くリスク(フェリーが欠航になった時点で「すべてがPになる」)はもちろんわかっていましたが、無事に計画を実現できて安堵しました。あらためて、西ノ島町でお世話になった方々にお礼申し上げます。

さようなら、また来るよ。
何かのポーズ(何かは忘れた)。

18:30に西郷港に到着し、夕食を食べ、この日もしっかりミーティング。実習中のミーティングは、後半になるにつれてどんどん長くなることを再確認しました(ハンダイジンチリのときに経験済み)。では、今回はこれまで。

「教育課題探究実習(隠岐実習)」を実施しました:第3日目

隠岐実習レポート、履修者募集から事前学習まで第1日目第2日目に続き、4回目です。

この日はバスの時刻の都合上、7時半過ぎに宿を出発し、バスに乗って島根県立隠岐高等学校へ向かいました。到着したのが8時過ぎ、生徒たちが次々と登校してきます。

なにはともあれ、正門前で記念撮影。

朝早くから来たのは、「隠岐ジオパーク研究最終中間発表会」ならびにディスカッションに参加するためです。「隠岐ジオパーク研究」(以下、「ジオパーク研究」と表記)とは何か? 一言でいえば、隠岐高校の生徒たちが取り組む課題解決型学習(PBL)です。

もう少し詳しく説明すると、隠岐高校では1年生の秋頃から2年生の秋にかけて、生徒全員がいくつかのチームに分かれてジオパーク研究に取り組んでいます(今回発表した現2年生は12チーム)。特色の1つは、年度ごとに研究対象地区を定め、地域課題解決型の学習ならびに研究として活動を行っている点です。現2年生の対象地区は島北東部の布施地区であり、布施地区の特徴や課題に関連するテーマを設定し、ここまで調査研究を進めてきました。

発表会冒頭の概要説明@2-1教室。

経緯を説明しだすと長くなるのでごく簡潔に書きますが、今回実習に参加した学生たちは、ジオパーク研究の途中成果を見せてもらい、その内容に対するコメントやアドバイスを作成し、高校側にお送りするという活動をしてきました。春の時点からかかわり、自分たちが送ったコメント・アドバイスを受けて、研究がどのように進展しているか、学生たちは楽しみにしていました。

発表会には私たちのほか、隠岐の島町の行政関係者、教育関係者、ジオパーク関係者、布施地区の方々、そして大阪大学人文地理学教室(ハンダイジンチリ)のチームなど、多くの、そして多様な参加者がみられました。

1・2時間目は、各チームのプレゼンテーションと質疑応答が行われました。学生たちは積極的に質問やアドバイスをしていました。春から(間接的にですが)高校生の研究活動にかかわってきたということもあって、内容面の進展だけでなく、各チームの特徴やチーム活動として抱えている課題など、感じ取る部分は少なくなかったようです。

3時間目は、12チームそれぞれに関学生や阪大生などが加わるかたちで、振り返り(リフレクション)とディスカッションが行われました。チームによって多少の濃淡はあったようですが、高校生にとっても、先生方にとっても、そして私たちにとっても非常に刺激的な時間になりました。

ディスカッションの様子@2-3教室。

なお、隠岐高ニュースで当日の様子が取り上げられています(2年生ジオパーク研究最終中間発表会)。

もっともっと振り返りをしたいところでしたが、次の予定があるためやむなく切り上げ(Y先生、ありがとうございました)、12時過ぎに高校を出発してジャンボタクシーで都万地区へと向かいました。

午後の目的は・・・シーカヤック洞窟ツアー! しかし、前日は大雨、この日も降ったりやんだりで、実施は難しい状況でした。それでもあきらめきれない学生たちの思いが届いたのか、雨は上がり、こころなしか空も明るくなってきたような・・・。

海洋スポーツセンターに到着し、前日にもお会いした一般社団法人隠岐ジオパークツアーデスクのSさんと最終協議。結論は・・・やはり中止。どんよりとした空気に支配され、私は学生からの視線に耐えられない(^^;)

やりきれない気持ちをぶつける二人組。

シーカヤックが中止になったのは残念でしたが、Sさんからのご提案により、都万地区のジオサイト巡り(Sさんのガイド付き)をお願いすることになりました。結果として、前日の大雨のおかげで水量の多い壇鏡の滝を見ることができ、Sさんの軽妙な語りと知識豊富なガイドを通じて、隠岐の歴史・文化、世界ジオパークとしての魅力や課題、地元(都万)で生まれ育ち、島を出てまた戻ってきたというSさんの人生経験など、多くのことを学び、また貴重な体験をすることができました。以下、写真で振り返ってみましょう。

屋那の船小屋。日本海側特有の文化的景観。
シーカヤック洞窟ツアーを実施する予定だった小津久(おづく)海岸を陸側からアプローチ。
流紋岩がみられる岩場で記念撮影。
壇鏡の滝を裏側から。すごい水量!
那久岬、灯台、島前の島々。

ジオサイト巡りを終えて海洋スポーツセンターに戻り、2階のスペースでSさん、Mさん、地域おこし協力隊員であるIさんとともにディスカッション(というか、ざっくばらんな座談会)を行いました。短い時間でしたが、1日目・2日目とはまた違った視点で隠岐の島町について考えることができたのではないかと思います。スイカと水出しコーヒーもごちそうさまでした!

実習も3日目となり、また朝早くから活動したということもあって、学生たちには疲れが目立ってきました。その一方で、やはり隠岐高校での経験はインプレッシブだったのか、夜のミーティングは眠い目をこすりながらも延々と22時近くまで続きました。あっという間に実習の折り返し地点。翌日はいよいよ島前へ。ということで、また次回。