隠岐実習2022 (6) ~第5日目(9/1)~

5日目は島前へ! 西郷港8:30発のフェリーしらしまに乗船。隠岐実習としては3年ぶりの島前行き(前回のレポート)。私自身も約2年半ぶりの島前です。

隠岐実習2019のときと異なるのは、今回は学生が主体的に島前行きを決めたという点です。「隠岐実習2022 (1) 」の中で「ゼロベースの検討・議論が長く続き」と書きましたが、島前に行くかどうかが大きな論点でした。紆余曲折を経てこの日に島前に行くことが決まりましたが、その決定自体には私はほとんど関与しませんでした(もちろん実習責任者としての最終判断はしました)。特に午後の活動については学生にほとんど任せていたので、何が起こるのか楽しみにしていました。

10時5分ごろに西ノ島町の別府港に入港。予約していたジャンボタクシーに乗り、最初の目的地へ。まだなんとか空は持ちこたえてくれています。山道に入り、牛や馬がふつうに道を歩いているのを見て、学生たちのテンション上がりまくり。そして到着したのは・・・・・・

摩天崖!! 今にも降ってきそう、ということで、絶景ポイントまでダッシュ! 高低差250メートルを超える断崖絶壁は圧巻の一言です。

スケジュールの都合上、慌ただしい摩天崖散策を終え、次の目的地、西ノ島町コミュニティ図書館いかあ屋へ。とても居心地がよく、またよく工夫された空間です。どこでもドアがあれば毎日でも通いたいぐらい。各自思い思いに過ごし、スタッフの方には学生の質問(&おしゃべり)に快く対応していただきました。

OKI

12時過ぎにいかあ屋をあとにし、いったん別府港周辺へ。雨脚が強くなってきました。各自昼食をとった後再集合し、13時20分発のフェリーどうぜんで菱浦港(海士町)へ。10分ちょっとで到着です。港から向かった先は、隠岐國学習センター。この訪問については完全に学生にお任せしていたので、私は単なる参加者。私自身、2019年3月以来の訪問だったのでとても楽しみにしていました。

センター勤務9年目という指導スタッフのTさんに学習センターの中をご案内いただきました。それぞれの場所・空間に意味があり、さまざまな工夫が凝らされていることがわかります。それぞれの部屋の意図や用途、学習センターに通ってくる生徒たちの様子、多様な生徒たちへの向き合い方・関わり方、隠岐島前高校との連携の実態、生徒の進路・キャリアビジョン、島前地域の教育魅力化の経緯と展望、他地域の「公営塾」と「公立塾」である隠岐國学習センターとの違いなど、学生たちからの幅広い質問に対して丁寧に回答していただきました。

雨の中、いったん菱浦港へ。船が出る時間まで、お土産を買ったりフェリーターミナルの2階で休息したり、のんびり過ごすことにしました。16時47分発の内航船いそかぜで別府港へ。乗り場から、昨年(2021年7月)にオープンしたEntôがよく見えました。別府港から17時15分発のフェリーしらしまに乗って島後(隠岐の島町)へと戻りました。

この日の総括です。振り返れば、事前ミーティング初期(6月上旬)において、島前に行きたいという希望が出されました。それを受けて私からは、

  • なぜ島前に行くのか、島前に行く意義は何か
  • 島前に行くのなら自分たちで主体的に動いてほしい

といったことを伝え(もう少しいろいろ言いましたがここでは割愛します)、いったんボールを投げ返しました。その後いろいろあって最終的に島前行きが決定したのですが、上記2点をある程度クリアした上での訪問であり、物足りなさは残ったかもしれませんが、良い機会になったと思います。わずか7時間程度の滞在では見聞きできることは限られます。今回の実習をきっかけにして、島前地域に関する学びや関わりをさらに深めていってくれればと思います。

今回の実習を通して、島前・島後双方の教育魅力化について(あるいは教育全般や地域について)学ぶことができました。大事なのは、相対化してとらえるということだと思います。海士町のキャッチフレーズは「ないものはない」ですが、島前にあって島後にないものはたくさんあります。特に教育魅力化の分野ではそのように見えてしまうかもしれません。しかし、島後にあって島前にないものもまたたくさんあり、先進地である島前にもさまざまな課題があります。そのことは、今回の実習を通して実感できたはずです。島前・島後で得た知見を相対化して比較検討し、教育魅力化とは何か、より良い教育とはどのようなものなのか、といったことについて探究していくことが重要だと思います。

実習最後の夜ということで、美味しいものを食べ、(ホテルの許可を得て)花火も楽しみました。次がいよいよ最終回。「隠岐実習2022 (7) 」に続きます。