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オンライン授業対応に関する備忘録(2020年3~4月)

いつの間にか5月になっていた。うちの大学でオンライン授業(と関学では呼んでいます)の実施が決まってからの約1か月はほんとうにあっという間だった。この間やってきたことや考えたことを忘れないうちに記録しておこうと思う(すでに記憶があいまいになりつつありますが・・・)。

2020年3月中旬まで

3月から学校が休校になり、卒業式・入学式が中止になり、予定していた出張も行けなくなるなど、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は明らかに出ていたけれど、オンライン授業についてまだほとんど想定していなかった。3月14日に実施された会議でも、対面授業を前提として話が進められた。この頃私は、研究室の書棚の部分的な解体に勤しんでいた(笑)。

3月下旬

3月23日、大学から「春学期の授業は4月20日まですべて休講とする」ことが発表された。春学期開始延期ではなく、春学期は予定通り始まるが最初の2週間はすべて休講、というのがわかりにくいと感じた。後述するように、今年度は科目代表を2つ抱えているため、この頃から授業スケジュールの再調整と各方面への連絡に追われるようになった。とはいえ、SNSで他大学の先生たちがワタワタしているのをながめつつも、自分がオンライン授業をすることについてはまだ真剣に考えておらず、(専門科目については)授業準備期間が伸びてラッキーと思っていた(^^;)

4月上旬

とある出来事(だけではないと思うが)を境に、学内の緊迫感が一気に上がった。4月1日付の学長名文書においてオンライン授業実施の可能性が示唆された。4月2・3日の新入生オリエンテーションだけはなんとか対面で実施したものの(相当慎重な感染対策を行った上で)、4日以降、対面方式で予定されていた説明会等はすべて別の方式へと変更になった。そして、6日に「(休講期間明け)21日からの原則オンライン授業実施」が正式に発表された。翌7日に事務室で打ち合わせがあり、そこで教育実習の事前指導もオンライン実施でお願いしますと言われ、(苦)笑いがしばらく止まらなかったことを思い出す。8日からは学生は原則入構禁止、職員も交代勤務となった。

オンライン授業開始(21日)まで

科目別のところでも記すが、専門科目の準備は後回しにして、とにかく「基礎演習」と教育実習事前指導の準備に没頭したという記憶しかない。SNSでは他大学の実践例(失敗例)がたくさん流れてきて、またオンライン授業に役立つサイトも次々登場し、とても参考になった。そうそう、Amazonの購入履歴を見ると、8日にこれ↓を注文している(笑)。PCのマイクよりも声が聞き取りやすいという評判につられて買った。ウェブカメラやキャプチャーボードの購入も検討したが、完全に出遅れていてすでに入手困難な状況であった(形から入ろうとしたけど周回遅れな人)。

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4月13日からの週は、大学 (学長名・教務機構・高等教育推進センター・学部など) からオンライン授業に関する通知や(文字ばっかりの)手引きが次々と届いたり、各方面からさまざまなメールが飛び交ったりして「わけわからん・・・」とひとりごちることもあった。他の先生も苦言を呈していたが、全体的に対応が遅いのと(他大学より半歩ずつ遅れていた印象)、情報の出し方がまずいと感じていた。

オンライン授業開始(21日~)

4月21日(火)、オンライン授業が始まった。ただし、5月6日までは試行期間とされ(とても全面的に実施できる状況にないと判断されたと思われる)、5月6日までは休講とした先生もいるようである。他の大学でも起きたようだが、オンライン授業初日はシステムに多大な負荷がかかり、シラバスやLUNA(関学のLMS)にアクセスしづらい状況が続いた。しかし、完全にダウンするまでには至らなかった(はずな)ので、意外とやるじゃん関学、と思った(笑)。2日目以降はほぼストレスなくつながるようになり感心した。

シラバス(を閲覧するためのシステム)に大きな負荷がかかった理由は、初回授業に関してはシラバスを参照するようにという対応をとったからである。LUNAの各科目ページは、基本的には履修登録翌日からしか利用できない(必修科目などは除く)。教育学部の場合、履修登録は22日からだったので、LUNAが利用可能になるのは最短でも23日からである。そのため、少なくとも21・22日の2日間は、教員と履修(希望)者をつなぐ手段はシラバスしかなかった。

私はというと、授業開始日とLUNA利用可能日のタイムラグを利用させてもらった(^^;) というのも、誰でも閲覧できるシラバスに授業資料を掲載することに疑問、というか抵抗を感じたからである。・・・などともっともらしいことを言ってみたが、時間稼ぎできたことは正直助かった。

というわけで、若干ずるをした感じがないわけではないし、「オンライン授業試行期間」という言葉に甘えながらではあるが、なんとか2週間を乗り切ることができた。ここまで3月以降の流れを時系列に沿って書いてきたが、以下では科目別の対応について記すことにする。

全般

ここまでのところ、授業はすべてオンデマンド型で実施した。すなわち、授業資料をLUNAにアップし、履修者の都合に合わせて受講してもらうという形態である。同時双方向型の授業も今後実施したいと考えているが、慣れていない学生やさまざまな理由があって対応できない学生もいるので、十分な配慮が必要であると感じている。

オンデマンド型授業は、YouTube動画+パワーポイントという方法を採用している。YouTubeはやはり手軽なのと、閲覧者側で再生画質を選択できる点がメリットである。限定公開とはいえ、履修者以外にも見られてしまうリスクはあるけれど、そこはまあしゃあないかな、と。見られるとほんとうにまずいものについては、大学推奨のOneDriveに保存し閲覧権限を限定して公開している。ちなみに、私のYouTuberデビューは2020年4月20日(月)であったことをここに記しておく(笑)。

オンデマンド型授業は、パワーポイントを作成してから、Zoomの画面共有機能を使ってパワポやインターネット画面などを示しながら講義動画を収録(?)している。そして、保存された動画をYouTubeにアップロードし、そのリンクとパワポなどの授業資料をLUNAにアップしている。科目ごとにチャンネルを作成しているのだが、チャンネルごとにアカウント認証が必要で、しかも1つの電話番号で認証できるチャンネルは1年間に2つまでとは知らなかった。4チャンネルつくったので、携帯番号と研究室の電話番号での認証はもう使えない。

今学期は週の後半が大変で、この前は朝から研究室にこもってパワポ作成と動画収録をひたすらやっていた。「はい、こんにちは、波江です。えー、今回は・・・」などとパソコンに向かってしゃべり続ける姿は、客観的に見るとけっこう怪しいんじゃないかなと思うけれど、自分に向いているような気もする(笑)。ちなみに収録は、大学に行けるときは研究室で、行けないときは自宅の、諸事情あって子ども部屋で行っている(^^;)

最初の頃はトチったら録り直しを繰り返して十数テイクでようやく完成、なんてことをやっていたけれど(一度、良い感じで進行していたのに子どもに乱入されたということも(T_T))、あまりに生産的ではないので、最近は多少ぐだぐだでもいいので一発録りすることを心がけている。そのうち余裕が出てきたら動画編集にも手を出そうかな・・・(そして泥沼へ)。

基礎演習Ⅰ

オンライン授業の準備の中で最も大変だった・・・。この科目は新入生全員が履修する必修科目で、約350人の新入生を14クラスに分けて実施する。今年度、私はこの「基礎演習Ⅰ」の科目代表を務めている。役を引き受けたとき、新学期がまさかこんなことになるとはまったく思っていなかった。4月6日にオンライン授業実施が決定されてから20日までに準備を終える必要があり、「実行可能な」オンライン授業版共通シラバスを作成するのに苦心した。

この「実行可能な」というのがなかなか難題で、そもそもこの科目は、グループワークなどを通じて新入生どうしの交流と協働を図り、関学生としてスムーズなスタートを切ってもらうためにあるといっても過言ではないので、オンライン授業にはまったく向かない科目である。履修ガイダンスすら十分にできていない状況の中で、まずはオンライン授業の入口に立ってもらうにはどうすればよいか、というところから始まった。「教員の連絡を確認すること」と「LUNAを使うこと」というオンライン授業の基本中の基本については新入生全員がクリアする、これをまず達成することが「基礎演習Ⅰ」という科目の重要な役割だと考えた。

私のクラスに関していえば、21日のオンライン授業開始を待たずにできるだけ早く連絡をとったほうがよいと考え、初回の予定だった13日に最初のお知らせメールを送って返信を求め、Twitterも併用しながら情報を積極的に届けることを心がけた。その甲斐があったかどうかはともかく、クラス全員のLUNAアクセスは達成できたので、ひとまず安堵している(まだまだ油断できないけれど)。

次の「基礎演習Ⅱ」にも関連することとして、オンライン授業においてラーニング・アシスタント(LA)がどのように授業にかかわれるのか、また、その業務管理をどのように管理するかを考える必要もあった。LAとは、授業のサポート役を務めてくれる学生のことである。「基礎演習Ⅱ」の科目代表・副代表の先生方と協力しながら、オンライン授業でのLA活用ガイドラインをつくれたことは良かったと思う。

基礎演習Ⅱ

2年生の必修科目。「基礎演習Ⅰ」と連動して準備を進めていくことになり、科目代表・副代表の先生方(ならびに各担当教員)と意見交換しながら授業計画の再構築にかかわることができた。2年生が対象ということで、LUNAの活用といった面に不安はほとんどないが、やはりこちらももともとグループワーク主体の科目なのでオンライン授業の難しさは感じる。第2回授業では、あらかじめ提出してもらった「個性的かつ独創的な」自己紹介と掲示板を使ってオンライン上での交流を図った。工夫の効果もあって掲示板は盛り上がっていて一安心。次の第3回で、いよいよZoomを使って同時双方向型授業を試行する予定である。

文化人類学

こちらも初めて担当する科目。ディスカッションを多くとり入れ、学外授業も2回ほど実施しようと考えていただけに、オンライン授業になって正直困った。みんぱく、みんなで一緒に行きたかったなあ。しかし、現実的には難しいので、国立民族学博物館のバーチャル見学を第2回授業とした。このようなコンテンツが用意されていてほんとうにありがたい限りである。第3回は掲示板を使ったディスカッション。書き込みにインセンティブをもたせることによって(また、書き込みやすい問いを用意することによって)議論が盛り上がったのは大きな収穫である。さて、第4回以降はどうしようか・・・。

人文地理学

なんといっても学外巡検を当面実施できないことが大きな痛手。この科目の一番の目玉なのに・・・。初回のガイダンスの中で「スペシャルコンテンツを用意するかも」などと口走ってしまったが、明らかに自分の首を絞める発言である。「人文地理学」に関しては話すネタはいくらでもあるので、オンラインという授業形態の中で、一方通行にならないようにいかに手を動かしてもらうか、取り上げる地域の面白さや課題をいかに実感してもらうかが大事だと考えている。「人文地理学」は実質的な初回(第2回)が終わったばかりなので、まだまだこれから。

実地教育研究(講義)

9月に小学校で5日間の実習を行う「実地教育研究(実習)」の事前指導という位置づけであり、今年度初めて担当する(3人で担当)。自分の担当回がまだ先ということもあり、正直なところオンライン授業のイメージはまだできていない。約150名も履修者がいるので大変そうである。

教育実習A・B

「基礎演習Ⅰ」とともに大変だったのが、「教育実習A・B」の事前指導の準備である。まさかの「オンライン事前指導」計画立案を、科目代表として主導していかなければならない立場となった。「基礎演習Ⅰ」のほうは対面授業を想定した授業計画をある程度オンライン授業にも生かすことができたが、教育実習の事前指導は対面とオンラインではまったく別物であり、ほとんど一からの再構築が必要であった。なんとか4月25日からオンデマンド型での事前指導を開始することができたが、現在も進行中であるため、いま多くを語ることは避ける。事前指導に加え、教育実習時期の変更や新型コロナウイルス感染症対応など、考えるべきこと・対応すべきことが多く、非常に難しい局面が続いている。

教育課題探究実習(隠岐実習)

すでに報告したとおり・・・。今年度の実習を楽しみにしてくれていた学生もいたようなので、期待に応えたい気持ちはあるが、こればっかりは事態の推移を見極めるしかありません・・・。

中等教育学内容特殊講義(地理)

大学院の科目。過去3年間は履修者ゼロで不開講だったので、今回履修者がいて驚いたというのが正直なところ(^^;) しかし、よく知っている学生だし、少人数でもあるので、オンライン授業は最もやりやすいのではないかと考えている。連休明けから本格的にスタートし、地理情報システム(GIS)の実践的な利用や地理教育における活用などについて、双方向的にやりとりしながら授業を進めていく予定である。

地域社会の生活と資源(関西大学)

非常勤先の担当科目について書くの忘れるとこだった!(関大の履修者のみなさん、ごめんなさいm(_ _)m)関大も関学と同じようなスケジュールで遠隔授業(と関大は呼んでいる)が始まった。関大で非常勤を担当するのは初めてなので、LMSなどのシステムの違いにまず戸惑った。関学と長らくお世話になっている大阪大学のLMSはともにBlackboardをベースにしているのに対し、関大ではWebClassというLMSを利用している。使い勝手が違うのは当然なので、ふだんであればマニュアルをしっかり読んで対応するのであるが、本務校でのオンライン授業対応に追われる中でまったく異なるシステムにも対応しようとするのはなかなかしんどいことであった(言い訳&年寄りの発言ですなあ)。非常勤の場合は、どのような学生が受講しているかまったくイメージできない状況で遠隔授業を実施するという点に難しさを感じている。

おわりに

ここまで読んだ人はどれくらいいるのだろうか・・・。(読んでくださった方、ありがとうございますm(_ _)m)無駄に長すぎると思うし、何かの役に立つとも思えないけれど、備忘録とはそういうものだと開き直ってこのまま残しておきます。

最後に気分を変えて、ちょっとだけプライベートなことも。在宅で子どもたちと一緒にいるときは、なんとか時間をつくって外に出ることにしている(もちろん3密を避けて)。家の近くを流れる川の河川敷に行くことが多い。先日そこで撮った写真を1枚だけ・・・。

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2020年度「教育課題探究実習(隠岐実習)」の延期について

2019年度に引き続き、2020年度も実施を予定していた「教育課題探究実習(隠岐実習)」ですが、昨今の情勢を鑑み、履修者の募集は当面延期することに決定しました。今後の方針については、慎重に社会情勢の推移を注視しながら検討し、然るべき時期に教学Web(関学教育学部生向け)や本サイト、SNSなどを通じてまたお知らせしたいと考えています。(2019年度の「教育課題探究実習」についてはこちらをご参照ください。)

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新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、大阪・兵庫に緊急事態宣言が出された今、何よりもこれまでお世話になってきた隠岐の方々にご迷惑はかけられない、万が一にもウイルスを持ち込むことがあってはならない、というのが今回の判断に至った一番の理由です。昨年度と同様、今月中に「第2期生」を募集して始動するというのはとても無理と判断しました。一方で、感染症が終息していることが前提ではありますが、秋以降に実習を行う可能性を残すため、現時点では「延期」とした次第です。

お世話になっている隠岐のみなさまには、ご期待に添うことができない、また、ご迷惑をおかけしてしまう面もあり、申し訳なく思っております。私自身も当面隠岐に行くことはできませんが、オンライン上でつながりながら、今後も隠岐の教育や地域課題について考え、協働していきたいと考えております。詳細についてはまた個別に連絡させていただきます。引き続きご理解・ご協力を賜りますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。

今年度の「教育課題探究実習(隠岐実習)」を楽しみにしてくれていた教育学部生(どれくらいいるのかわかりませんが・・・)、また、ラーニング・アシスタントとして引き続きかかわってくれることになっていた昨年度の「第1期生」に対しても、申し訳ない気持ちでいっぱいです。この苦しい時間を乗り越え、またみんなと隠岐に行ける日が来ることを願っています!

2020年度のポスター。大々的に掲示する予定だったのですが・・・(T_T)

関西学院大学教育学部着任のご挨拶

私こと波江彰彦は、2020年4月1日付けで、関西学院大学教育学部に准教授として着任いたします。

・・・私の近況を知る人からは「すでに着任してるじゃないか」と盛大なツッコミが入りそうですが。

簡単に説明しますと、私はこれまで3年間は任期付助教でしたので、1年ごとに契約更新(4回まで更新可)という立場でした。ですので、単に助教から准教授へ昇任ということではなく、2019年度契約満了→2020年度新任ということになります(たぶん)。つまり、4年目の新任、そして、3年ぶり二度目の新任です(笑)。

ということで、勤務先(西宮聖和キャンパス)も、研究室も、メールアドレスなども、これまでと変わりません。担当科目も変わりません(というか増えます・・・)。3年間慣れ親しんできた場所でこれからも仕事を続けられることはうれしい限りであり、また深く感謝しています。

新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大し、日本そして世界の情勢は日々刻々と変化し、私たちの日常も一変してしまいました。これまでのやり方・過ごし方が通用しない現実に直面し、未来を予測できない今、大学の一員として、一研究者・一教育者として、そして一個人として何ができるのか、何をすべきなのかをあらためて見つめ直し、これまで以上に力を尽くしていきたいと決意を新たにしています。

関学に来てからの3年間(あるいはその前の阪大時代から)、教育・研究等の活動を通じて多くの方々とかかわることができ、またいろいろとお世話になりました。これまでのご縁とご助力に感謝するとともに、今後とも引き続きご指導・ご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。そして、これからの新しいチャレンジを通じて、また多くの方々と出会い協働していければと願っております。

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さて、こんな感じで初々しく(?)着任エントリを書いてきましたが、実質的には4年目の教員であり、誰も私のことを新任とは思っておらず(笑)、2020年度は科目代表を2つと学部内委員会の主任を1つ担当します。春学期開始の繰り下げに加え、ここにきて感染症拡大の深刻度が増してきたこともあって、この一週間ほど授業計画の再調整や、オリエンテーションや教育実習事前指導の進め方の変更などに追われ、新任者という気分はまったくありません (^^;) 。正直ちょっとテンパっていますが、なんとか乗り切っていきたいと思います。

最後にお知らせ。関学の広報誌『KG TODAY』の新任教職員紹介に、私もやや場違いな(?)、空気読んでない(?)感じで載りますので、関学関係者はもしよろしければご笑覧ください。

「隠岐ジオパーク研究成果発表会」を開催しました(2019年10月15日)

2019年10月15日(火)9時から、関西学院大学西宮聖和キャンパスのリプラにおいて、「隠岐ジオパーク研究成果発表会」を開催しました。これは島根県立隠岐高等学校の関西研修旅行(修学旅行)の一環として、隠岐高校の2年生が約1年間をかけて取り組んできた「隠岐ジオパーク研究」の成果を大学や企業で発表するというものです。

発表会の開催にあたっては、隠岐高校、関西学院大学、同教育学部の各ウェブサイトに開催案内を掲載していただきました。隠岐ジオパーク研究の概要や発表会開催の経緯などについては、下記リンク先をご覧ください(いずれも2019年10月20日最終確認)。

発表会、ならびに関西研修旅行の様子については「隠岐高ニュース」にて報告されています。また、発表会当日は、山陰中央新報の記者の方に取材していただき、10月17日付けの新聞に記事を掲載していただきました。そのほか、関学のKG News、デジタル毎日の@大学倶楽部ニュース(KG Newsとほぼ同内容)、関学教育学部生が運営するTwitterアカウント「これも関学」にもレポートが掲載されました。ご協力いただき、ありがとうございました(下記リンク先は2019年10月20日最終確認)。

以下、発表会当日の様子を写真とともに振り返ります。(写真はクリックすると大きく表示されます。なお、一部の写真は加工されています。)

10月15日午前中は3大学(大阪大学豊中キャンパス・立命館大学大阪いばらきキャンパス・関学西宮聖和キャンパス)に分かれての発表でした。関学には4チーム22名の生徒と3名の先生が来学されました。

会場のリプラがある2号館。
隠岐高校のみなさん ようこそ関学へ!
リプラの入口。
電子黒板にもポスターを表示。
8時20分過ぎ、隠岐高校御一行到着!

予定通り9時から発表会開始。波江は司会進行と講評を担当しました(あと、写真撮影も)。

1チーム目の発表スタート。

1チーム目のプロジェクト名(プレゼンタイトル)は「へか鍋のバトンタッチ~次世代の君たちへ~」です。「へか鍋」とは、肉ではなく魚介類を使ったすき焼きとのこと。隠岐の郷土料理であるへか鍋を守っていきたいという思いのもと、学校給食に採用してもらい、子供たちに受け継いでもらうことを課題として設定しました。へか鍋の試作と実食アンケート、改善を繰り返し、また、子供たちにも知ってもらえるように可愛らしいポスターも作成しました。今後は給食センターへ企画書を提出し、学校給食への採用を目指して交渉していくそうです。

「サザエちゃん」かわいい!

2チーム目は「卯敷の未来を見据える」。最初、卯敷地区に自分たちの提案を持っていったところ、思わぬ反応にあって戸惑ってしまったこのチーム。そこから、卯敷地区の未来のためにまず自分たちは何ができるのかを考え、地区の方々とともに海岸のごみ拾いや草刈りなどに取り組み、地区の課題や住民にとって必要なものごとを汲み取っていきました。そして、住民の買い物の現状をふまえ、地区の10年後、20年後も見据えながら考案したのが、楽に、また楽しく買い物をするためのショッピングカートです。今後も地区に寄り添い、しっかり声を聞きながらカートの改良を進め、住民の方々に提案する予定です。

卯敷の未来は、隠岐の未来、日本の未来でもあります。そんなことを考えさせられる発表でした。

3チーム目は「卯敷カレンダーでマラソンランナーを増やそう!」。そもそも卯敷地区のことを知らなかったというメンバーもいるなど、卯敷地区の知名度の低さは大きな課題です。隠岐の島町にはウルトラマラソンという一大イベントが毎年6月に開催されますが、島半周の50kmコースは卯敷地区を通りません。そこで、50kmコースの参加者に、卯敷地区のことを知ってもらい、また、島一周の100kmコースにエントリーしたくなるようなカレンダーを渡すのはどうか、というのがこのチームの提案。今年のウルトラマラソンにボランティアとして参加し、参加者に直接話を聞いたりアンケートを実施したりして、オリジナリティのあるカレンダーを作成しました。来年度、まずは上位入賞者に賞品として渡せないか交渉する予定です。

卯敷地区の風景写真と、ランナーの参考になりそうなトレーニング情報を掲載。

3チーム目の発表終了後、発表会をいったん中断し、隠岐高校のみなさんはチャペル・アワーに参加しました。11:10から発表を再開。トリを飾る4チーム目のプレゼンは「釣りプロジェクト in 布施」です。

リプラは西宮聖和キャンパスのラーニングコモンズ。1限終了後から人が増えてきました。

8月頃になってからプロジェクトをガラッと変えたというこのチーム。大きな出遅れは否めませんでしたが、そこからの追い上げがすごかった。隠岐の魅力のひとつである魚釣りを活かして関係人口を増やそうというプロジェクト。ビジネスモデルキャンバスというフレームワークを利用して、誰をターゲットにするのか、どのような価値(ハッピー)を提供するのか、どのように伝えるのか、コストはどのくらいかかるのか(収支の試算も提示)、などをひとつひとつ検討していきました。すでに大きな実績を残しているウルトラマラソンのノウハウも活用しながら島内外の釣りファンを呼び込むイベントを開催する、という提案は、フロアに大きなインパクトを与えていました。

釣りイベントのネーミングもすばらしい!(あえてここには書きません)

それぞれの発表に対して、フロアから積極的に質問が投げかけられました。それに対して、生徒たちはしっかり受け答えしていたように思います。8月の最終中間発表のときと比べて、発表内容・プレゼン・質疑応答のいずれも大きな進展・成長がみられました。

ところで、発表会場では、波江と教育学部生8名が隠岐地域において実施した「教育課題探究実習(隠岐実習)」の成果を発表するポスターも展示しました。隠岐実習に参加した学生は、ポスターづくりのほか、発表会への参加と運営にも積極的にかかわってくれました。

「教育課題探究実習」の成果報告ポスターその1。(左は波江が作成したものです)
「教育課題探究実習」の成果報告ポスターその2。
積極的に質問してくれました。
隠岐誉3人組。

発表会が終わったらお待ちかねの昼食です。今回、西宮聖和キャンパス唯一の食堂「マナ・ホール」を利用していただきました。昼食後は3班に分かれて、聖和キャンパスツアーを行いました。ツアーを担当してくれたのも隠岐実習参加の3名でした(=SCCV所属;SCCVは聖和キャンパスをより魅力的にするためにさまざまな活動している学生ボランティア団体です)。

聖和キャンパスツアーの様子その1(図書館前)。
聖和キャンパスツアーその2(奥に見えるのが正門)。
みんなで記念撮影@聖和キャンパス。

やや慌ただしかったですが、聖和キャンパスでのイベントはすべて終了し、次は西宮上ケ原キャンパスへと向かいました(狭い道をなんとかくぐり抜けるバスの運転手の技術に感服)。上ケ原キャンパスでオープンキャンパスの運営などに携わっている学生サークル「KG CLUB」所属の文学部生がキャンパスツアーを担当してくれました。

関学のシンボルである時計台。
みんなで記念撮影@上ケ原キャンパス。

大学訪問の後、グランフロント大阪にあるナレッジキャピタルの体験ツアーが予定されているとのことで(大変おつかれさまです!)、14時に関学を出発していきました。全行程が無事終了し、お見送りすることができてほっとしました。

至らぬ点も多々ありましたが、今回の大学訪問をとても喜んでいただき、大変うれしく思っています。今回のイベントは、隠岐高校の皆様、関学聖和&上ケ原キャンパスの教職員の皆様、SCCV、KG CLUB、そして隠岐実習に参加した学生たちの多大なご協力を得て実施することができました。あらためて深く感謝申し上げます。ありがとうございました。